2010/8/6 金曜日

財政赤字と消費税とアクアライン

カテゴリー: 学習会・イベント

 猛暑が続く。4日午後は、第27回土気東環境連絡協議会に出席し、5日午後は、企業庁新経営戦略プラン(改定版)を審査するH22年度第2回千葉県行政改革推進委員会を傍聴した。若松行革委員が、企業庁の清算会計について管理・分譲・貸付、負担金などを箱を分けて管理し、どこに損失がでているか明確にすべきと主張していた。その主張を聞きながら、当時の道路公団が2000年度からアクアライン、千葉東金道路、京葉道路などを「千葉プール」に一括し、アクアラインの膨大な赤字を隠していることを思い出した。

土気東環境連絡協議会は、民間の区画整理事業の調整池が千葉市の都市公園である「昭和の森」内の貴重な動植物の生息地につくられることから、アセスに記載のある保全対策や周辺への影響などについて事業開始後の情報提供と意見交換を行うため、1998年に設置され、市、事業者、県自然観察指導員協議会(県指協)、土気環境安全協議会(地元住民)の4者で構成される。事業は今年3月に終了したことから、協議会も今回で終了する。今後、13年間の協議会に提供された情報を整理し、アセス手続きと実際との差異について記録したいと思う。

3日午後は、県ネット政策室主催の税制学習会第一回「消費税をどうするか?」で、私は『消費税をどうするか-再分配と負担の視点から』(小此木潔 09年 岩波新書)をもとに、消費税導入の背景と導入後の政府の財政政策の失敗、人間らしい生活を保障する財源のための税制の展望について報告した。

 法人税、所得税の最高税率をもとに戻す、優遇税制も廃止する、社会保障及び教育以外の歳出(つまり土建型公共事業、軍事費など)の徹底削減、特別会計の無駄の排除などで、消費税のアップは不要と思われる。

 消費税導入の理由となった財政赤字の要因の一つが、米国の圧力である。
「車産業に象徴される日本の輸出増→経常収支の黒字→貿易不均衡の是正を求める圧力→内需拡大→公共事業の追加→国債発行額の増加→財政赤字→消費税導入」という連鎖だ。
そもそも輸出大企業は、消費税の「輸出戻し税」でボロ儲けし、国内中小零細企業にとって重い負担となる。地域振興の観点からもマイナスだ。

 米国の圧力によるこの公共投資の中に1兆4千億円のアクアラインがある。
「日米構造協議」の90年の最終報告書には、10年間430兆円の公共投資計画が盛り込まれたが、これは1995年度から13年間で630兆円に増額修正された。
 そのアクアラインの800円社会実験が開始後、1年経過した。最新のデータによると観光入り込み客数には目立った増加はみられない。

 5月27日に行われた安田八十五氏(関東学院大学経済学部教授)による講演会「アクアラインと地域振興」(主催:県議会市民ネット・社民・無所属会派)の報告文を県ネットの「Sファイル」に掲載したので以下に紹介する。

【参考】(県ネットSファイルより)
東京湾横断道路による地域開発効果の総合評価と政策提言
~講演会「アクアラインと地域振興」報告

総額50億円(内、千葉県負担25億円)のアクアライン社会実験が、昨年8月から来年3月までの予定で行われている。この社会実験について、アクアラインそもそもの成り立ち、地域振興への影響などについて、アクアラインの計画当初から発言されてこられた環境政策学者の安田八十五氏(関東学院大学経済学部教授)による講演会「アクアラインと地域振興」(主催:県議会市民ネット・社民・無所属会派)を5月27日に開催した。その概要を以下に報告する。(文責:川本幸立)

1.アクアライン事業計画の変遷と実際

 中曽根内閣の「民間活力導入のビッグプロジェクト第1号」であるアクアラインは1987月に着工し、97年に開通した。87年の事業認可時の総事業費1兆1500億円、普通車料金4900円、供用20年後の計画交通量64000台/日、30年償還が、97年の供用時はそれぞれ1兆4400億円、4900円(但し5年間は4000円)、53000台/日(初年度25000台/日)、40年償還に変更された。

 開通後5年間の日平均交通量は9600台~14000台で、収支実績は98年度収入148億円、支出468億円(管理費56億円、金利412億円)で320億円の赤字、99年度314億円の赤字、2000年度は330億円の赤字である。金利分が巨額で維持管理費の8倍ある。
 実際に採算ベースにのるには日平均交通量は7~8万台必要となる。

 なお、アクアラインの単独採算では償還が不可能であることから2000年7月、国土交通省と日本道路公団は京葉道路・千葉東金道路との料金プール制を導入した。このプール制の導入に伴いアクアライン単独の費用が公表されなくなり、その後の収支実績について評価ができなくなった。

2.アクアラインの費用便益比は0.180

 米国では公共事業についてはマニュアルがあり、予算要求のときは必ず費用便益分析を出さねばならない。公共事業を行うには費用便益比(B/C)は最低1.0以上、実際は1.5や2以上が求められてきた。最近ようやく、日本でもB/Cの議論ができるようになった。
 02年にアクアラインについて安田・川村で費用便益分析をしたところ、便益が2274億円、費用が1兆2640億円となりB/C=0.180となった。このことからアクアラインは費用便益費が1よりはるかに小さい結果になり、建設に値しない事業であることを示している。

 一方、アクアライン事業事後評価委員会(中村貢委員会)が99年に実施した費用便益分析は、便益3兆2500億円、費用が1兆7千億円で費用便益費が1.9としている。上記の0.180との違いの理由は、便益の96%を占める3兆1200億円の走行時間短縮便益を過大評価するとともに、ダブルアカウント(二重計算)していることによる。そもそも前提条件となる推計方法をまったく公開していない。科学とは再現されなければならないが、これでは科学とは言えない。環境悪化費用も推計せず、需要曲線の推定すらしていない。

 こうした国土交通省の費用便益分析の手法は今も同じで、圏央道裁判に出廷した役人は、費用便益分析の根拠を問われてもコンサルに丸投げのため裁判でもまともに答えられないのが実態だ。

3.地域振興に果たす道路の役割は派生的なもの

道路の役割は何か? 道路をつくれば地域を振興できるか? 道路だけ整備しても地域の振興などできない。そもそも、需要には「本源的需要」と「派生的需要」があり、道路は派生的な存在だ。地域の総合的な魅力が問われることになる。
 木更津市は目標人口を34万人→24万人→20万人→17万人と下方修正し、アクアライン開通後も人口は増えてはいない。中心市街地では西友、そごう、ダイエー、デイマートが閉店し、82年に3093あった商店は91年が2330と25%減少し、この減少傾向は変わらない。地価も91年との比較で04年は住宅地で7分の一、商業地で19分の一である。
アクアラインは木更津市にとって、期待したほど地域振興に役立たなかった、結論的にはマイナスだったと言える。

 もっとも、木更津の商圏の縮小は、房総半島の半島性の脱却によりその優位性を失ったことが一番大きい。
 次に、横浜や川崎など強い方に買物客を奪われるという「ストロー効果」の進行していることだ。社会システムも「重力の法則」と同様で、2地域間の時間距離が半分になると大きいほうに4倍流出していくことになる。
  
4.アクアラインの失敗から学ぶべきこと

 経済論争で勝てるように政策的代替案をつくることが重要だ。東京湾は世界で最も豊かな閉鎖系水域であり、干潟の環境的価値は大きい、埋め立て施策に対抗するために、盤洲干潟を仮想的市場評価法(CVM)で環境価値を評価した結果、1年間で1671億円の経済価値があると算出した。 
 アクアラインの失敗の本質は、日本の社会システムの依存的な体質にあり、効率性、公平性、参加性から公共事業のあり方を総合評価していく必要がある。
 そのために、公共事業基本法の法制化が求められる。

2010/6/1 火曜日

沖縄基地問題をめぐるメディアの醜態

「最低でも県外」と主張していた鳩山首相が、米軍普天間基地を名護市辺野古周辺に移設するとした「政府対処方針」を28日に閣議決定した。これを受けて、30日に社民党は連立離脱を決めた。

「政府対処方針」は、日米同盟を「引き続き日本の防衛のみならず、アジア太平洋地域の平和、安全及び反映にとっても不可欠」「21世紀の新たな課題にふさわしいものとすることができるように、幅広い分野における安全保障協力を推進し、深化させていかねばならない」とした上で、「同時に沖縄県を含む地元の負担を軽減していくことが重要」とした。

5月17日、「アメリカがダメだというんだ。オバマさんも最初から辺野古だったから」と鳩山首相は福島社民党首に打ち明けたという。(「毎日」5月31日)

沖縄県民の意思(辺野古移設賛成6%・世論調査)は無視された。29日朝刊で「毎日」は政治部長・小菅洋人氏の米政府の顔色を伺った一文を「安保をもてあそんだ罪」という見出しで一面に掲載した。

 この間、5月25日の緊急報告集会「基地はいらない!どこにも どうする普天間基地!?」(県ネット主催)、30日の「とけ・九条の会」4周年記念行事で同志社大学教授の浅野健一さんの講演「メディアと人権、戦争責任」があった。

 25日の集会では、著名な建築家でもある真喜志好一さんが、辺野古周辺の米軍の基地計画は1966年にすでに存在し、同じ計画が97年に出されたこと、辺野古計画にある桟橋(軍港)や戦闘機装弾場は普天間基地にないものであり、辺野古計画が「移設」ではなく基地を新設し強化するものであることを指摘された。
 海兵隊は攻撃開始から数週間後に上陸するという最後の上陸部隊であり、米本土にいても何の不都合もない。地政学、抑止力とは縁遠い存在だ。
 真喜志さんは、政府の迷走により沖縄は一つになっていること、「沖縄を返せ」という歌が復活していると語り、「琉球独立」という旗も掲げられ自然発生的に行われた集会の様子などをスライドで紹介した。

 30日の講演で浅野健一さんは、前政権の守屋とラムズフェルトによる辺野古計画は、新政権でチャラにして当然とし、ジャーナリズムの責任は、①戦争・ファシズムを止めること、②人権を守る、という「知識人の仕事」であるとし、CIA系に絡みとられた様相のメディを厳しく批判した。

【参考】5月30日、とけ・九条の会 同志社大学教授・浅野健一さん作成講演資料から(抜粋)

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530日の「とけ・九条の会」4周年記念講演会の様子と講演する浅野健一(同志社大学教授)

1 鳩山政権と沖縄差別

 鳩山由紀夫首相は5月28日夜、臨時閣議を開き、この日午前に発表した日米共同声明を確認し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古周辺に移設するとした政府方針を閣議決定。これに先立ち、社民党党首の福島瑞穂・消費者担当相が閣議決定への署名を拒んだため、首相は福 島氏を罷免。福島氏の後任は置かず、平野博文官房長官に兼務させた。

社民党の福島瑞穂党首が28日に党本部で開いた記者会見の要旨は次の通り。

[ 連立政権で頑張ってきたが、社民党は沖縄を裏切ることはできない。(昨年)12月3日、私はこの内閣が(沖縄県名護市の)辺野古に(米軍普天間飛行場の移設で)基地を造ると決定した場合、重大な決意をしなければならないと述べた。日米共同声明と閣議決定にまさに辺野古と書き込んでおり、署名できない。
この問題には三つの大義がある。「もう基地を造るな」と異議を申し立てている沖縄の人たちとの連帯。二つ目は国民と政府との信頼関係。(首相が)「最低でも県外」という約束をほごにするなら政府と国民との信頼は破壊される。三つ目は日米関係。地元の賛成なく反対の中で強行することは日米関係も破壊する。
鳩山総理は「辺野古の海を埋め立てるのは自然への冒涜(ぼうとく)だ」と言った。私を罷免することは沖縄を切り捨て国民を裏切ることだ。激しく失望している。沖縄の負担を増やす政治に加担できない。私は約束した政治をしっかりやり、新しい時代を切り開いていきたい。沖縄問題の真の解決のため邁進(まいしん)していきたい。 ]

福島氏は29日、TBSの番組で、「私を罷免することは、社民党を切り捨てること。党として重大な決意をしなければならないということはあるのではないか」と述べた。
福島氏は、同県名護市辺野古への移設を明記した閣議決定への署名を拒否した理由について、「(閣僚を)続けたいとの思いも、もちろんあったが、新たな基地を建設することに加担をしてはいけないと思った」と説明。鳩山由紀夫首相からの説得に「言葉に責任をもつ政治をやりたい」と答えたことを明かした。連立離脱については30日の全国幹事長会議で最終決定する。

首相はこの間、「抑止力」を強調。もともと憲法改悪論者で、米国追随派だったが、岡本行夫氏ら霞ヶ関官僚族にマインドコントロールされたに違いない。
 朝日新聞によると、首相は28日夜の会見で「県外に代替施設を見つけられないかという思いで(昨年末以来)探ったが、海兵隊全体を本土に移す選択肢は現実にはありえなかった」と、見通しの甘さを認めた。地元、連立与党よりも日米合意を優先させたことについては、「日米の信頼関係を維持することが最大の抑止力だ」と居直った。3月の韓国哨戒艦の沈没事件にわざわざ言及し、「東アジア全域の平和と安全の維持の観点から、慎重な熟慮を加えた結果だ」と説明した。
 
沖縄県名護市の稲嶺進市長は28日、「市民に約束してきたことですし、信念を持って貫き通すのが私の役割です」とこれまでの姿勢を継続することを強調。鳩山首相との今後の交渉については「私は交渉の座に座らない」と強く否定した。仲井真弘多知事も「県外移設の実現に期待する県民の声が今でもますます高まっているなかで、このような合意は県民の大きな失望と怒りを招くものだ」と批判。「県や地元の了解を経ずに、このような移設案が決定されたことは誠に遺憾で、受け入れることは極めて厳しいと言わざるをえない」と語り、現状では辺野古移設を受け入れられないとの考えを改めて示した 

日米同盟、すなわち日米軍事同盟を揚棄(aufheben)し、平和条約を結ぶ気もない。辺野古に新たな基地をつくれるはずがない。沖縄で抵抗闘争、独立運動も
沖縄の議会、行政、メディアは「差別」されていると強調している。

28日の基本政策閣僚委員会で示された、政府の沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題を巡る政府の対処方針の<2>は《日米安全保障条約は署名50周年を迎えたが、特に最近の北東アジアの安全保障情勢にかんがみれば、日米同盟は、引き続き日本の防衛のみならず、アジア太平洋地域の平和、安全及び繁栄にとっても不可欠である。このような日米同盟を21世紀の新たな課題にふさわしいものとすることができるようには以下の通り》として、次のように述べた。《このため、日米両国政府は、普天間飛行場を早期に移設・返還するために代替の施設をキャンプシュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置することとし、必要な作業を進めていくとともに、日本国内において同盟の責任をより衝平に分担することが重要であるとの観点から、代替の施設に係る進展に従い、沖縄県外への訓練移転、環境面での措置、米軍と自衛隊との間の施設の共同使用等の具体的措置を速やかに採るべきこと等を内容とする日米安全保障協議委員会の共同発表を発出した》

2 転換期のジャーナリズムの責任

 読売新聞は5月28日、【ソウル=仲川高志】で、《韓国政府関係者は28日、日米共同文書発表について「とにかく良かった。日米同盟は北東アジアの平和と安定に主要な役割を担っているから」と安堵(あんど)の表情を見せた。
 北朝鮮の核・ミサイル実験、金正日総書記の健康悪化、哨戒艦沈没事件など、朝鮮半島情勢を揺るがす事態が相次ぐ中、韓国政府は極めて強い関心を持って日米同盟の行方を見守っている。》などと報じた。日米同盟が憲法違反であるとの視点はゼロ。

   朝日新聞(【ソウル=箱田哲也】)によると、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)最高権力機関の国防委員会は28日、平壌で記者会見を開き、韓国の哨戒艦沈没事件は「傀儡(かいらい)当局(韓国)によるでっちあげだ」と否定した。北朝鮮外務省も同日、報道官名で「米国と南朝鮮(韓国)当局の自作劇」との談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。
国防委は「でっちあげ」だとする理由として、韓国の北朝鮮対策や外交政策の正当化、韓国保守勢力の結集、統一地方選を有利に運びたい思惑などから、韓国こそ哨戒艦沈没のような「事件」を必要としていたと指摘した。
 外務省報道官談話は主に米政府を批判。中間選挙を控え、強い姿勢を演出する必要があることや、米軍を国外に出そうとした日本の民主党を屈服させ、中国を難しい立場に追い込む狙いがあったなどと指摘した。

日本の企業メディアとNHKは、鳩山首相を批判するが、朝日、毎日を含め東京のマスゴミこそが、日米軍事同盟に何の疑問も持たず、在日米軍記事を不変のものと見てきた。権力を懐疑的に見て、監視するというジャーナリズム機能を全く果たしていない。朝日の船橋洋一・主筆の日米安全面肯定はCIA工作員と疑うほどだ。朝日の那覇の記者は「首相を止められなかった社民党も同罪だ」と書いた。ふざけるな。朝日こそ同罪なのだ。
テレビでは社民党の安保政策を非難する田原総一郎らのCIA系のコメンテーター、評論家がほとんど。28日夜のNHK解説委員は「北朝鮮情勢、中国の軍備増強など北東アジアの緊張を考えると米軍基地は重要、不可欠」と強調していた。

日本のナショナリストはなぜ米国に敗戦後65年も軍事占領されていることを問題にしないのか。
米中の戦略会議が開催中だった。米中の経済関係は強化する一方で、朝鮮は中国の影響下にある。日朝の正常化によって緊張は緩和できる。
国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)の再検討会議は28日、核廃絶への具体的措置を含む64項目の行動計画を盛り込んだ最終文書を全会一致で採択、閉幕した。「核なき世界」の実現を目的に掲げ、「核兵器禁止条約」構想にも言及した。 NPTの記事はいつも小さい。
在日米軍があることで東アジアの緊張は高まっている。米軍のアフガン、イラク強制占領こそが世界の不安定要因。「ただで基地が維持できるから日本にいる」と西山太吉氏。

沖縄の新聞は東京のマスコミを「第三の壁」と規定していた。2010年1月27日の琉球新報。
[〝呪縛〟の行方 普天間移設と鳩山政権――第3部 模索 
■10■辺野古固執の大手メディア
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐっては、辺野古案を「唯一実行可能な案」と譲らない米側に加え、鳩山内閣内にも昨年末まで露骨に日米案推進を主張してはばからない閣僚もいた。だが、この閣内外の県内移設圧力のほかにも、「第3の壁」とも言うべき、もう一つ別の〝勢力〟がいた。全国紙など在京大手メディアだ。
 「プロの運動家を除いたら、実際に集まった人数はそんなに多くないんでしょ」。昨年11月9日に宜野湾市で開かれた普天間飛行場の県内移設に反対する県民大会の翌日、外務省担当の大手メディア記者が本紙記者に尋ねた。沖縄の反基地運動の大半は、地元の一般市民ではなくプロの運動家によるもの―との先入観を如実に表した質問だった。
 普天間移設問題をめぐり大手メディアの報道には「日米間のトゲ」や「同盟の危機」との表現が目立つ。在沖米軍基地の必要性については「地政学的な観点」や「中国や北朝鮮の脅威に対応する抑止力」と冷戦時代から手あかがついた表現が繰り返される。
 「社民斬りだ、社民斬り。連立に残りたいなら黙ってろよ」。社民党が「県内移設を決定すれば連立離脱も辞さない」との姿勢を示したことから鳩山内閣が混乱し、普天間移設問題への方針が大きく揺れ動いた昨年12月初旬。ある大手メディア記者は「ブレる」政権にいら立ちをぶつけるようにつぶやいた。
 大手メディアでは、普天間基地問題の取材は政治部記者が担う。長きにわたる自民党政権下での報道姿勢の影響もあってか、政治記者の問題意識の中心は政府内の派閥、勢力関係の分析に重きを置く「政局報道」の色彩が強い。その視点から見れば、県内移設に抵抗する社民は、連立政権の和を乱す厄介者と映ったようだ。
 「普天間移設問題に関しては朝日新聞と産経新聞の社説のトーンがあまり変わらない。これは郵政民営化議論の時以来、珍しい現象だ」。1月に都内で開催された日米安保体制に関するシンポジウムの壇上、大手紙の編集幹部は、現在の東京の言論状況を解説した。報道の「横並び」状況を自ら認めた発言だったが、同席した同業他社からもその発言に疑問や危機感を示す発言はほとんどなかった。その上で、自らの言説の正当性を強調するかのように、日本を取り巻く安全保障環境が軍事力を拡大する中国や核開発を進める北朝鮮の存在から予断を許さない状況だと指摘し、日米同盟、在日米軍基地の重要性を強調した。
 そして米軍基地の縮小を求める沖縄の議論について「沖縄は、今後10年もたてばアジアは平和になると思っている。僕らの考えている空間と違うところにあるようだ」と説き、会場からは冷笑も漏れた。
(「呪縛の行方」取材班)
(月―水掲載) ]

2010/4/12 月曜日

海洋土木に要注目~2月県議会県土整備常任委員会報告③

 11日の「毎日」朝刊は、「マリコン」と呼ばれる海洋土木業者の政治団体「さんそう会」(71年発足)と国土交通省所管の社団法人「日本埋立浚渫協会」(61年設立、27社加盟)の一体化(事務所、会計責任者)の疑惑を報じている。

一体化は、①政治団体が特定議員(自民党旧二階派や旧運輸省OBの同党議員)に献金、②議員は省庁の受発注などに影響力を行使、③省庁幹部は公益法人に天下り、という「政官業」癒着の温床と指摘されている。
 
海洋土木と言えば、千葉県には海岸整備事業がある。
九十九里浜はここ30年の土木事業による人為的改変により侵食が進み、効果の疑問視される養浜事業と称する土木事業で景観を含め海岸の破壊がさらに進んでいる。
 3月16日の県土整備常任委員会で九十九里浜の海岸整備事業について質した。

・ヘッドランドや養浜事業に効果はあるのか?

【川本】東京湾アクアライン活用戦略にも、海岸整備事業として一宮海岸、南九十九里海岸のヘッドランド整備、養浜、休けい施設などで新年度3億5700万円が計上されている。そこで、3点伺う。
①砂浜の浸食を防ぐため整備事業個所についての事業毎の内容と予算額と今までの投入額、今後投入する額について伺う。
②ヘッドランドや養浜事業などの侵食防止事業の効果はどうか?
③景観面、生態系に与える影響をどう評価しているのか。

【荒木河川整備課長】
九十九里浜においては、砂浜の浸食を防ぐ海岸保全を目的にヘッドランドを主体とする侵食対策を1980年代から実施してきております。
 平成22年度当初予算では、海岸高潮対策事業により、北九十九里海岸で1億6800億円、ヘッドランド約70m、海岸侵食対策事業により一宮海岸で2億9800億円、ヘッドランド約80mと養浜工を実施する予定です。
 これまでに侵食対策に要した費用は、北九十九里海岸で約82億円、一宮海岸で約64億円であり、進捗率は55%です。
 また、残事業費は、北九十九里海岸で約70億円、一宮海岸で約50億円を見込んでいます。
主体となって行ってきたヘッドランドの整備効果は沖側に向かう離岸流を抑制し、沿岸漂砂量の7~8割程度を制御し、砂浜の浸食速度を低減させることが目的です。
一宮海岸ではヘッドランドの縦堤を10基全て着手しており、横堤部が完成した2-3号ヘッドランド間では基部に砂の堆積がみられ、安定化してきています。
 しかし、ヘッドランド間の中央部では充分な砂浜の回復が見られないことから、平成21年3月に策定した「南九十九里浜養浜計画」に基づき、片貝漁港や太東漁港の堆積している土砂などをサンドリサイクルし、砂浜を回復するための養浜工を進めることとしています。
海岸侵食対策として昭和50年代までは、離岸堤や緩傾斜護岸などを実施してきましたが、これらを比較すれば、ヘッドランドは設置間隔が約1㎞と広いことや砂浜を護岸で覆ってしまうこともないことから、景観や生態系に与える影響は少ないと考えています。
一宮海岸では、平成17年度からヘッドランドと併せて養浜の試験施工を行った結果、そのモニタリング調査では生態系への影響を与えていないことが確認されており、平成21年度のモニタリング調査でもダンベイキサゴ(通称ナガラミ)が増えたことが確認されました。
今後もモニタリングを継続し、事業の効果及び生態系に与える影響を検証するとともに、地元の方々や海岸利用者など関係者と話し合いながら、侵食対策を進めてまいりたいと考えております。

【川本】一宮海岸を昨年視察して、2基あるヘッドランドの効果をこの目でみたが、侵食対策として確実なものではなく、親水空間としても危険ですらあり相応しくないことを感じた。そもそも侵食の要因は、ここ30年前後の間に行った人為的改変が根本的な要因である。ヘッドランドも含めてまだ実験段階であり、海岸侵食対策として不十分だと理解しているのかどうか。

【河川整備課長】ヘッドランドは縦堤を施工しており、部分的に横堤を着手しており、整備率は55%です。しかしながら、ヘッドランドの整備だけでは砂浜の回復はできないことから、養浜を始めています。ヘッドランドと養浜をうまく組み合わせて効果を見ながら事業を進めていきたいと考えております。

・生態系に与える影響は?

【川本】生態系に与える影響についてだが、アオウミガメの上陸や産卵への影響はどうか?
 また、ヘッドランドでできた砂浜の生態系はどうか?モニタリングは行っているのか?

【河川整備課長】養浜材は片貝漁港、太東漁港から持ってくる砂であり、もともと九十九里浜にある砂であることから、生態系へ大きな影響は与えないと考えています。
 新たに砂の付いた部分のモニタリングは実施していませんが、今後検討していきたいと考えています。

・セットバック(土地利用等の後退)を検討すべきでは?

【川本】保安林の過剰な前進に伴う海浜地の喪失の事例が南九十九里浜であり、海岸を含む土地管理システムが侵食問題の解決を妨げているという指摘もある。
  ヘッドランドによる侵食対策、養浜事業を、生態系の面でもしっかり評価し、抜本的に見直し、「南九十九里浜養浜計画」に記述されているセットバック(土地利用等の後退)を含めて検討すべきと考えるどうか。

【河川整備課長】砂浜を回復するために、まずは沿岸域での土砂の流れの回復を図ることが重要であると考えていることから、保安林との調整については、養浜の効果を検証後に必要に応じて行っていきたいと考えています。
セットバックにつきましても、養浜計画の中には今後検討をしていきたいとありますが、当面は養浜のモニタリング調査を確認しながら、侵食対策としてヘッドランドと養浜を進めてまいりたいと考えております。

【川本】セットバックについて、景観面からも検討すべきである。

dscf1136 11日開催された「市議・県議との意見交換会」(市民ネットちば主催)で40億円県不正経理問題について報告する

2009/8/14 金曜日

三番瀬の人工ビーチ化と第二湾岸道路計画~「三番瀬を守る連絡会」と意見交換

 近頃、堂本さんは何をやりたくて知事になったのか?!ということをよく考える。それほど、これは「堂本知事の不作為」だと思うことがゴロゴロしている。その一つが三番瀬問題だ。
 13日午後は、市川市内で開催された三番瀬勉強会に出席し、約2時間半、「三番瀬を守る連絡会」の方々と意見交換する。
 感想を以下に記す。

① 猫実川河口域の「泥干潟」の貴重な価値(水質浄化力、生態系)、そこに砂を投入する人工ビーチ化は「泥干潟」の不可逆的な破壊であることを、現地観察会などを通じて市民・議員・マスコミなどに対しより広くアピールしたいものだ。

② 人工ビーチ化を推進したい市川市、その市川行徳臨海部「まちづくり」のコンセプトは「Love is money」(儲け第一)(03年7月25日開催第10回「市川市行徳臨海部まちづくり懇談会」での市川市塩浜協議会まちづくり委員会の代表委員の発言)というから、「カネと効率と競争」優先の前世紀型の「まちづくり」である。そこには三番瀬円卓会議が04年に提言したラムサール条約への登録促進や三番瀬再生保全条例の制定など、生態環境の保全の視点がない。生物多様性保全、「持続可能な都市」の視点からの根本的な批判が求められる。

③ 人工ビーチ化など三番瀬埋め立てを推進する勢力の真の狙いは事業費1兆円を超えると言われる第2湾岸道路計画の事業化である。建設で三番瀬の生態系は確実に壊滅する。漁業環境という生活の基盤が破壊される漁業者や、生活環境が確実に悪化する浦安市民に三番瀬埋め立ての狙いを明らかにし「生活か高速道路か」の観点からの率直な問題提起が今求められる。

④ 人工ビーチ化を推進し環境破壊の片棒を担ぐ学者やNPO・NGOがいるという。過去の公害事件や開発行政では、「国・企業の側に立った「虚構の権威」」(「医学者は公害事件で何をしてきたのか」津田敏秀著、岩波書店)、「権力に迎合する学者たち」(「学問に情けあり」西山卯三・早川和男、大月書店)などと学者の社会的責任が指摘されてきたが、実際は常に免責されてきた。NPOについても「行政の下請け化するNPO」(「民意偽装第2回、道路とNPO」斎藤貴男、「世界」09年8月号)と批判されている。
「公共事業は変われるか~千葉県三番瀬円卓・再生会議を追って」(永尾俊彦、岩波ブックレット)によれば、人工ビーチ化推進の理論的支柱の風呂田利夫・東邦大学教授(底生生物)らは「市川の海再生実験」などで市川市から02年から05年の4年間で合計2110万円の委託(委託先は東邦大理学部)を受けている。円卓会議委員の磯部雅彦・東大大学院教授(海岸工学)は人工干潟などを手掛ける五洋建設と東洋建設から02年から06年の5年間で総計1900万円もの寄付を受けている。
一方、「三番瀬フォーラム」関連団体は、市川市から「市川市三番瀬塩浜案内所」の管理運営委託を910万円(04年度~06年度)、「海の見学会」88万円(02年度)、「藻場アシ原再生事業」150万円(03年度)で受けている。
  市川市からの委託は07年度以降今年度も同じような状況のようだ。
  行政の下請け化した学者・NPO・NGOという実態の検証が三番瀬をめぐっても必要だ。一方で、漁協などから地元自民党県議への政治資金・献金の流れも調査したいと思う。

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写真は昨年5月の市民調査時の三番瀬猫実川河口域の生物とカキ礁

2009/7/6 月曜日

韓国市民交流と平和の旅 視察報告会

5月18日~21日まで「市民自治と平和の創造」をテーマに韓国視察をしてきた報告会を行います。

●日時:2009年7月10日(金)13:30~15:30
●会場:市民ネットワーク千葉県4階会議室
●参加費:無料
 
訪問した所は以下の通りです。
さまざまなヒントや課題をもらいました。
そして市民こそ国境や国籍にとらわれない交流が求められることも痛感しました。
こうしたことをざっくばらんお話したいと思います。 
 
・自由研究空間スユ+ノモ・・・・大学に未来は無いと、共同体をつくる研究者たち。雨宮処凛さんも「怒りのソウル」で紹介。 
・(財)希望製作所・・・・・・・・・・普通の市民が社会を変える。
・京畿市民社会フォーラム・・・・道議員、市議、大学教員らのフォーラム会員と私たちと2時間を越える「市民自治・地方自治と平和づくり討論会」を行った
・韓国挺身隊問題対策協議会・・・戦時下性的被害者問題は世界共通の問題。そして千葉県民がどう取り組むのか問われている。
・日本大使館前、元「慰安婦」被害者水曜集会
・平和博物館(ろうそく集会1周年展示会)・・ソウル市中心部にある市民の博物館。
・西大門刑務所歴史博物館
・京畿道議会・・・・・・・・・・・・・京畿道は北朝鮮に接する行政区。日本語の議会紹介ビデオで紹介。
・ソウル市議会・・・・・・・・・・・・本会議場議席にはパソコン設置。採決もタッチパネルで。

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