2007/5/29 火曜日

滋賀・京都のまちづくりと千葉の現状を比較する(視察報告1)

カテゴリー: 活動日記

「県立博物館の役割、その未来を考える」

5月23日24日、市民ネットワークの千葉市会議員(ネットでは代理人と言う)5名と滋賀県庁、草津にある滋賀県立琵琶湖博物館、中心市街地活性化
の取組で有名な長浜市を訪ねた。また23日の午前には福谷章子市議とともに、市全域で建物の高さや屋上の看板を規制する景観条例を定めた京都市を訪ね、都
市景観部市街地景観課の方にお話を伺った。千葉の現状と対比させながら感想などを含めて今後4回に分けて報告する。

●琵琶湖博物館 「まちづくりにかかわる人を増やすのが博物館の役割だ」

24日午前、湖畔にある滋賀県立琵琶湖博物館を訪問した。

目的の一つは、博物館活動に県民・NPOがどのように関わっているのかを伺うことだった。琵琶湖博物館では、利用者主体の事業として、セミプロやアマチュアではなく普通の人が調査を楽しむことを主眼とした「フィールドレポーター制度」と地域のサークルが博物館を利用する「はしかけ制度」を2つの柱としている。

上席総括学芸員の布谷知夫さんのお話の一部を以下に紹介する。
―「1年間の来館者が04年に急に3万人も減少した。そこで広報・経営戦略会議で対策を練り、昨年は48万人と増加した。」
―「まず、理屈抜きに楽しい博物館であること、そして地元にしっかりと目を向けることを基本としている。活動方針に『教育』『啓蒙』という言葉はあえて使ってはいない。」
―「地元学という言葉がある。何のための博物館か。地域に目を向ける材料が博物館にはある。そして人々が地域に目を向ければもっと良い地域にしたいと思
い、どうすればよいかを考えるようになる。つまり博物館は将来のことを考える人を増やす。こうしてまちづくりにかかわる人を増やすのが博物館の役割だ。」
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●千葉の博物館=文化に未来はあるか?!

自治体が厳しい財政状況にある中、公立博物館を取り巻く状況は全国どこも厳しい。琵琶湖博物館も毎年予算を減らされているそうだ。2兆数千億円もの
借金を抱える千葉県も同様である。といっても、博物館費が一般会計予算に占める割合は0.2%程度の36億円で、県民一人あたり600円である(02年
度)。
2002年に県が行財政改革の一環として11か所ある博物館の統廃合などを打ち出した時は、全国から50を超える団体が抗議の意思を表明し、03年には私も参加して「千葉県立博物館構想に関する県民提言報告書」をまとめ県あて提出した。04年には「新世紀において千葉の博物館が生み出すべき価値の検討と評価尺度づくり」で県民参加の博物館評価を提言し、07年には中央博物館で「千葉の干潟」展を博物館とNPOの協働事業として開催した。
しかし、入場料の有料化、「房総のむら」に指定管理者制度の導入、大多喜の総南博物館、佐原の大利根博物館の中央博物館の分館化など「行財政改革」は進められ、今度は上総博物館も木更津市に譲渡することになったという。こうした行財政改革のスピードと比較すると、「NPO・県民との協働」の歩みは鈍い。

一方、各博物館の事業費は乏しく、資料の修復や施設の改修のための予算も不足している。肝心の資料の価値を伝える若い人材もいない。このままでは、
千葉の博物館の未来、いや千葉の文化の未来は暗い。行財政改革計画で「創造に向けた施策精選型の新しい行政システム」を築くことを目指す県として、文化・
教育環境の整備にこそ重点的に力を入れるべきである。それが次世代への責任と言うものだ。

2007/5/22 火曜日

土気東区画整理事業に伴う県立土気高校グランド削減問題を考える
~県及び県教育委員会は自らの責任で教育長期ビジョン、県立高等学校像に合致した対応を~

カテゴリー: 活動日記

県議選挙期間中に、「土気高校の敷地を守る会」代表のPTA会長名で各立候補者宛てに、会が行なう請願(「資料1」参照)に協力を求める文書が送られてきた。現在、広い範囲で県議会議長宛の請願署名活動も行なわれ、千葉日報などでも報じられたのでご存知の方も多いと思う。8200㎡ものグランド削減により、部活動に支障が出ることは明らかである。(経過については「資料2」も参照のこと)

● 最優先すべきは「教育環境の充実」~ツケを子どもにまわしてはいけない!

私は、土気東区画整理事業について10年ほど前の事業開始当初から自然環境保全の観点から注視してきた。全国各地の区画整理事業と同様、事業の進捗がおもわしくないことは承知していた。そもそも区画整理事業は「健全な市街地の造成を図り、もって公共の福祉を増進する」ことを目的とし、「公共施設の整備改善を図るために行なう公共施設の新設又は変更」を事業の柱の一つとしている。したがって、「不動産的価値」ではなく「利用価値」が求められる県立高校のグランドが削減され部活動に支障を及ぼすなどと言うことはあってはならないことである。そのことは区画整理事業の区域に土気高校の敷地を入れるかどうかを検討した段階で県、教育委員会も承知しており、県から入手した当時の文書の中に、「今回の事業予定区域への編入により校地の集約を図り、効率のよい使用形態とすることとしている。しかし、減歩により面積が減少する為、換地後の面積によっては保留地の取得等の対応が必要となる」とのメモ書きも見られる。
ところが、県教育委員会は今年3月30日付の事業整理組合宛の文書で、グランド敷地を削るとの回答をした。
県としては財政難の折、ない袖はふれないということだろうが、土地区画整理事業に伴うリスクを承知した上で事業区域への編入を決めたその責任は問われるし、ツケを子ども達に押し付けることは許されない。また、今日の県財政の逼迫は学校の運営に起因するものではない。行財政改革計画で「創造に向けた施策精選型の新しい行政システム」を築くことを目指す県として、次代を担う人材育成、教育環境の整備にこそ重点的に力を入れるべきであり多くの県民もそのことに賛同すると思われる。

●県及び教育委員会は当事者(職員・生徒・保護者)との対話など、自らの責任で「教育長期ビジョン」、「県立高等学校像」などにに合致した対応を

現在、「素案」が提示されている「千葉県教育の戦略的なビジョン」にも、「県民一人一人が主体となって、家庭・学校・地域が責任と信頼のもとに連携・協力し、心身ともに健康で、郷土を愛し、責任ある行動と自己表現のできるあすを拓く『ちばっ子』を育てていきます」(「基本理念」)、「芸術・文化・スポーツの国際舞台で活躍できる子どもたちの育成支援」、「豊かな学びを支える教育環境の整備」として「部活動や特別活動の充実」などが挙げられている。今回の県、教育委員会の「まずグランド削減ありき」の対応は、以下にその一部を紹介する「県教育長期ビジョン」「県立高等学校再編計画」にも反する。
今回の問題への対応は、少なくとも職員・生徒・保護者など当事者との率直な対話と合意、教育環境の充実を前提に行なわれるべきものと考える。

★「県民一人一人が、生涯を通じて『学ぶ喜び』を感じながら『次代をひらく力』を培うことのできる学習環境の実現」(県教育長期ビジョンの基本理念)
★「生徒がその個性を最大限に生かせ、夢の実現に一役買ってくれる学校」
「生徒や教職員が生き生きと活動して、元気ある学校」
(目指すべき県立高等学校像)
★「各高等学校においては教職員一人一人が、この計画の趣旨を理解するとともに、開かれた学校づくりを進めるとともに、特色ある学校づくりに積極的に取り組んでいかねばなりません」
「今後は、学校・家庭・地域社会がそれぞれの役割を果たしながら一体となって教育力を高めるとともに、生徒一人一人がその個性を生かし、生き生きと夢を持って高校生活が送れるような教育環境を整備していかねばならないのは言うまでもなく、・・」
(「県立高等学校再編計画」平成14年11月 千葉県教育委員会)

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■資料1
土気高校の敷地を守る会
「土気高校のグラウンド移転に伴う再減歩に際しての敷地の確保を求める請願(再減歩によってグラウンドの三分の一を失う)」

【請願趣旨】
千葉県立土気高等学校では、平成16年度において、校地を通過する道路建設のため、グラウンドの移転を行いました。その際、土地区画整理組合との協議において、移転費用に該当する土地を提供することで、ほぼ、旧敷地と同程度の大きさのグラウンドを校地に隣接する土地に建設することが出来ました。ところが、一昨年(平成17年4月)になって、組合から地価下落に伴う保留地売却予定価格の値下がり等の理由で、組合から土気高校用地の再減歩を求められました。千葉県と土地区画整理組合は再三協議を重ね、整理組合も現状教育施設であることを考慮し、組合執行部は他の組合員に了解を得られるものとして、減歩面積を変えずに価格を二分の一(約2億5000万円)に引き下げるとの申し出がありました。
千葉県教育委員会としては、現状の学校機能を存続させるために組合の再減歩を承諾し、保留地として購入したいと考えましたが、知事部局財政課の許可が下りず、教育委員会としては、保留地の購入を断念せざるを得なくなったと聞き及んでいます。具体的に、土地区画整理組合が提示してきた減歩の内容は、現在のグラウンドの約三分の一削減に該当するというものであります。
学校のグラウンドが約三分の一(8200㎡)も削減されたら、野球もサッカーも陸上もテニスも同時に行うことは困難で、上記のうち正常に出来るのは、二つぐらいに限られてしまいます。部活動をはじめ、教育に大きな支障をきたし、とてもやっていけるような状態ではありません。
土気高校の敷地の削減はなんとしても避けたいと思うところです。

【請願事項】
1.再減歩の問題については、土地区画整理組合と県が誠意を持って十分に討議し、合理的な結論に達することを望みます。
2.その際、土気高校の敷地は確保することを話し合いの基本線としていただき、その討議によって、結果的に土気高校の敷地が削減されることは絶対に避けることを求めます。

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■資料2
めざせ!住民主権のまちづくり「区画・再開発通信」07年5月号より

(発行:NPO法人 区画整理・再開発対策全国連絡会議)
「再減歩で高校のグランドの3分の一を失う~高校を守りたいと市民の一大運動~」

土気東区画整理事業は東急の業務代行による組合施行の事業であるが、ここにきて保留地処分価格の下落等で事業がゆきづまり、2005年には事業計画変更を行ない再減歩を行うことを決めた。そのため地区内にある千葉県立土気高校のグランド8200㎡が再減歩の対象となり保留地となる仮換地変更案が示された。じつはこれに先立つ最初の仮換地指定では、地区内の別の県有地約1haを提供することでほぼ減歩なし、幹線道路貫通に伴うグランド等の位置変更などで対応してきた。再減歩では、これをさらに削り込む負担となる。区画整理組合としては、千葉県教育委員会に保留地に変更する同グランド8200㎡を価格を半分にして買取るか、それとも手放すかの照会を行ない、その回答を踏まえて仮換地指定変更をするという。
ところがこのほど組合に千葉県教育委員会からは同グランドの一部を手放す旨の回答が出された。
こうした情勢のもとで、市内の教育関係者をはじめとした市民グループ{土気高校の敷地を守る会}が立ち上げられ、なんとか土気高校を守りたい、グランドを確保したいと一大請願運動が始まっている。
本来、土地区画整理事業は、都市計画の母として、住民の公益的な施設なども整備しつつ住みよい住環境を実現するということが期待された事業である。事業採算合わせの結果、従来からあった県立高校の教育施設まで削り込むのでは、一体、何のための区画整理なのか問われるものとなろう。市民の世論が喚起され、千葉県あげて積極的に対応することが期待されているのではなかろうか。(編集部)

2007/5/16 水曜日

県議会本会議初出席~これで言論の府?!
「『無言』の壁」を実感

カテゴリー: 県議会

16日の県議会臨時議会が、私にとって初めての本会議出席となった。議長副議長などの選出とともに、現在開会中の国会審議を反映して、「急施・緊急を要する事件」として、国民投票法制定、教育3法改正、放送法等改正についての「意見書」の発議案も4つ出された。

会派市民ネットワークは、「教育3法『改正』案の慎重審議を求める意見書」を提出。しかし、地方自治法102条に規定する臨時議会で扱うべき「急施・緊急を要する事件」に該当しないという自民党の「数の論理」で門前払いとなった。無所属市民の会の吉川さんの「なぜ急施でないと考えるのか意見を言うべきだ」の言葉に自民党席は「沈黙」。言論の府にあるまじき「無言」ならぬ「無慮」の壁を感じた。
監査委員に自民議員と民主議員を選任する議案には、公正厳格な監査の実施が保証されないと考え市民ネットは反対した。これに対して、自民党席から「誰が反対したかよく覚えておくからな」という声がかかる。

8つの常任委員会で委員長ポストと過半数を占めるいわゆる「安定多数」のために必要な議席は56議席である。 95人の議員中、市民ネットワーク2、自民56、民主21、公明7、共産4、社民1、無所属市民の会1、無所属3である。私は県土整備常任委員会都市計画審議会に所属が決まった。今後、言論の府であり良識の府であるべき県議会の実態を広く県民に知らせていきたいと思う。

臨時議会が終了したのは午後3時前、その後は会派控え室で、県立土気高校グランド再減歩問題、かずさアカデミアパークの包括外部監査結果報告(平成13年度)の措置状況と事業状況、財団法人ニューフィルハーモニーオーケストラの現況、県立博物館の予算・歳出の推移などについて関係部署よりヒアリングする。
先日、県議会図書室に依頼していたアスベスト被害の新聞記事の写し、都市計画マスタープランや京都などの景観とまちづくりについての書籍類などを受領した。その資料・情報収集力に感心する。

夜は京成津田沼駅近くで開かれた「福嶋浩彦さんを参議院に送り出す会」第2回拡大呼びかけ人会議に出席。40名を超える方が集まり、福嶋さんの市民自治についての思いに耳を傾けた。呼びかけ人の小林正弥氏が言われるように活憲、救憲のための超党派市民候補として福嶋さんに参議院選への立候補を決意してもらいたいと心から思う。

2007/5/15 火曜日

まち壊しと憲法

カテゴリー: 活動日記

おゆみ野の低層住宅街に隣接して計画された十数階建ての高層マンション、同じくおゆみ野の近隣商業地域で建設が始まった化学物質分析施設、産廃最終処分場跡地や不法投棄場を施行区域内に含む西八千代北部特定土地区画整理事業、土気東区画整理事業の不調でグランドの3分の一が削られる土気高校などの問題に対し、現在、健康被害や住・教育環境の悪化を懸念する人々が異議申し立てをしている。
それらの詳細については、今後改めて報告するとして、これらに共通するのは当事者の異議申し立てにも関わらず、問答無用のコミュニティ破壊がまかり通っていることである。ここにも基本的人権を規定した憲法の空洞化が見られる。今後、憲法を「日常的に行使」する立場から、まちづくりの有り方を問うていきたいと思う。
参考までに以下に、建築ジャーナル05年6月号に寄稿した一文を紹介する。

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建築ジャーナル05年6月号

「人権論に基づき建築のあり方を問い直す」
川本幸立

私が10年近く原告住民の支援活動をしてきた2つのバイオ施設(危険な病原体や遺伝子組換え微生物を扱う実験研究施設)を巡る訴訟で、今年に入り相次いで最高裁の決定が下った。
一つは大阪・高槻のJT(日本たばこ)医薬総合研究所の建築確認申請図書(設備関係)の情報公開訴訟であり、500枚以上の設計図書が全面公開となった。もう一つは、東京・新宿の国立感染症研究所の実験差止などを求めた訴訟で、住民側の敗訴が確定した。
いずれも周辺住民が、都会の住宅密集地に立地する施設からのバイオハザード(生物災害)の発生を危惧し異を唱えたものの建設が強行され、やむにやまれず裁判に訴えたものだった。
裁判で原告住民は、研究業務による「生命、健康、自由、幸福追求の権利」(人格権)並びに公共の福祉(憲法13条)の侵害を訴え、施設の立地、耐震安全性、設備の信頼性などをめぐり全面的に争い、科学的な安全性を問うた。建築を巡る「人権裁判」であり、「科学裁判」でもあった。
さて、市民の使用頻度の高い公共施設については、「市民参加」で進める風潮が高まりつつあるように見える。だが、バイオ施設、廃棄物処理施設、地下室マンションなどの安全性や環境影響の点で危惧される施設については、法の未整備状態が放置されたまま、建設が強行されるケースが大半である。「公共性」を独占する「政府・行政」、環境安全を行政に担保し利益確保(事業推進)を最優先に建設を強行する「事業者」という構図が強固に存在している。「市民参加」が行政の許す範囲で都合良く使われているのが現状と言えよう。
本来、「市民参加」の根拠となる「市民的公共性」は人格権の尊重を前提とする。そうした目で本誌今年4月号の「建築への参加」特集記事を眺めると、人格論を踏まえた「参加論」は見当たらない。「建築の社会化」は、人権論に基づき建築のあり方を問い直すことからはじまる。

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