県議選挙期間中に、「土気高校の敷地を守る会」代表のPTA会長名で各立候補者宛てに、会が行なう請願(「資料1」参照)に協力を求める文書が送られてきた。現在、広い範囲で県議会議長宛の請願署名活動も行なわれ、千葉日報などでも報じられたのでご存知の方も多いと思う。8200㎡ものグランド削減により、部活動に支障が出ることは明らかである。(経過については「資料2」も参照のこと)
● 最優先すべきは「教育環境の充実」~ツケを子どもにまわしてはいけない!
私は、土気東区画整理事業について10年ほど前の事業開始当初から自然環境保全の観点から注視してきた。全国各地の区画整理事業と同様、事業の進捗がおもわしくないことは承知していた。そもそも区画整理事業は「健全な市街地の造成を図り、もって公共の福祉を増進する」ことを目的とし、「公共施設の整備改善を図るために行なう公共施設の新設又は変更」を事業の柱の一つとしている。したがって、「不動産的価値」ではなく「利用価値」が求められる県立高校のグランドが削減され部活動に支障を及ぼすなどと言うことはあってはならないことである。そのことは区画整理事業の区域に土気高校の敷地を入れるかどうかを検討した段階で県、教育委員会も承知しており、県から入手した当時の文書の中に、「今回の事業予定区域への編入により校地の集約を図り、効率のよい使用形態とすることとしている。しかし、減歩により面積が減少する為、換地後の面積によっては保留地の取得等の対応が必要となる」とのメモ書きも見られる。
ところが、県教育委員会は今年3月30日付の事業整理組合宛の文書で、グランド敷地を削るとの回答をした。
県としては財政難の折、ない袖はふれないということだろうが、土地区画整理事業に伴うリスクを承知した上で事業区域への編入を決めたその責任は問われるし、ツケを子ども達に押し付けることは許されない。また、今日の県財政の逼迫は学校の運営に起因するものではない。行財政改革計画で「創造に向けた施策精選型の新しい行政システム」を築くことを目指す県として、次代を担う人材育成、教育環境の整備にこそ重点的に力を入れるべきであり多くの県民もそのことに賛同すると思われる。
●県及び教育委員会は当事者(職員・生徒・保護者)との対話など、自らの責任で「教育長期ビジョン」、「県立高等学校像」などにに合致した対応を
現在、「素案」が提示されている「千葉県教育の戦略的なビジョン」にも、「県民一人一人が主体となって、家庭・学校・地域が責任と信頼のもとに連携・協力し、心身ともに健康で、郷土を愛し、責任ある行動と自己表現のできるあすを拓く『ちばっ子』を育てていきます」(「基本理念」)、「芸術・文化・スポーツの国際舞台で活躍できる子どもたちの育成支援」、「豊かな学びを支える教育環境の整備」として「部活動や特別活動の充実」などが挙げられている。今回の県、教育委員会の「まずグランド削減ありき」の対応は、以下にその一部を紹介する「県教育長期ビジョン」、「県立高等学校再編計画」にも反する。
今回の問題への対応は、少なくとも職員・生徒・保護者など当事者との率直な対話と合意、教育環境の充実を前提に行なわれるべきものと考える。
★「県民一人一人が、生涯を通じて『学ぶ喜び』を感じながら『次代をひらく力』を培うことのできる学習環境の実現」(県教育長期ビジョンの基本理念)
★「生徒がその個性を最大限に生かせ、夢の実現に一役買ってくれる学校」
「生徒や教職員が生き生きと活動して、元気ある学校」
(目指すべき県立高等学校像)
★「各高等学校においては教職員一人一人が、この計画の趣旨を理解するとともに、開かれた学校づくりを進めるとともに、特色ある学校づくりに積極的に取り組んでいかねばなりません」
「今後は、学校・家庭・地域社会がそれぞれの役割を果たしながら一体となって教育力を高めるとともに、生徒一人一人がその個性を生かし、生き生きと夢を持って高校生活が送れるような教育環境を整備していかねばならないのは言うまでもなく、・・」
(「県立高等学校再編計画」平成14年11月 千葉県教育委員会)
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■資料1
土気高校の敷地を守る会
「土気高校のグラウンド移転に伴う再減歩に際しての敷地の確保を求める請願(再減歩によってグラウンドの三分の一を失う)」
【請願趣旨】
千葉県立土気高等学校では、平成16年度において、校地を通過する道路建設のため、グラウンドの移転を行いました。その際、土地区画整理組合との協議において、移転費用に該当する土地を提供することで、ほぼ、旧敷地と同程度の大きさのグラウンドを校地に隣接する土地に建設することが出来ました。ところが、一昨年(平成17年4月)になって、組合から地価下落に伴う保留地売却予定価格の値下がり等の理由で、組合から土気高校用地の再減歩を求められました。千葉県と土地区画整理組合は再三協議を重ね、整理組合も現状教育施設であることを考慮し、組合執行部は他の組合員に了解を得られるものとして、減歩面積を変えずに価格を二分の一(約2億5000万円)に引き下げるとの申し出がありました。
千葉県教育委員会としては、現状の学校機能を存続させるために組合の再減歩を承諾し、保留地として購入したいと考えましたが、知事部局財政課の許可が下りず、教育委員会としては、保留地の購入を断念せざるを得なくなったと聞き及んでいます。具体的に、土地区画整理組合が提示してきた減歩の内容は、現在のグラウンドの約三分の一削減に該当するというものであります。
学校のグラウンドが約三分の一(8200㎡)も削減されたら、野球もサッカーも陸上もテニスも同時に行うことは困難で、上記のうち正常に出来るのは、二つぐらいに限られてしまいます。部活動をはじめ、教育に大きな支障をきたし、とてもやっていけるような状態ではありません。
土気高校の敷地の削減はなんとしても避けたいと思うところです。
【請願事項】
1.再減歩の問題については、土地区画整理組合と県が誠意を持って十分に討議し、合理的な結論に達することを望みます。
2.その際、土気高校の敷地は確保することを話し合いの基本線としていただき、その討議によって、結果的に土気高校の敷地が削減されることは絶対に避けることを求めます。
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■資料2
めざせ!住民主権のまちづくり「区画・再開発通信」07年5月号より
(発行:NPO法人 区画整理・再開発対策全国連絡会議)
「再減歩で高校のグランドの3分の一を失う~高校を守りたいと市民の一大運動~」
土気東区画整理事業は東急の業務代行による組合施行の事業であるが、ここにきて保留地処分価格の下落等で事業がゆきづまり、2005年には事業計画変更を行ない再減歩を行うことを決めた。そのため地区内にある千葉県立土気高校のグランド8200㎡が再減歩の対象となり保留地となる仮換地変更案が示された。じつはこれに先立つ最初の仮換地指定では、地区内の別の県有地約1haを提供することでほぼ減歩なし、幹線道路貫通に伴うグランド等の位置変更などで対応してきた。再減歩では、これをさらに削り込む負担となる。区画整理組合としては、千葉県教育委員会に保留地に変更する同グランド8200㎡を価格を半分にして買取るか、それとも手放すかの照会を行ない、その回答を踏まえて仮換地指定変更をするという。
ところがこのほど組合に千葉県教育委員会からは同グランドの一部を手放す旨の回答が出された。
こうした情勢のもとで、市内の教育関係者をはじめとした市民グループ{土気高校の敷地を守る会}が立ち上げられ、なんとか土気高校を守りたい、グランドを確保したいと一大請願運動が始まっている。
本来、土地区画整理事業は、都市計画の母として、住民の公益的な施設なども整備しつつ住みよい住環境を実現するということが期待された事業である。事業採算合わせの結果、従来からあった県立高校の教育施設まで削り込むのでは、一体、何のための区画整理なのか問われるものとなろう。市民の世論が喚起され、千葉県あげて積極的に対応することが期待されているのではなかろうか。(編集部)