●田母神俊雄「論文」問題が示す自衛隊を覆う「靖国史観」と早期の政権交代の必要性
定額給付金2兆円、消費税などをめぐる政府の右往左往ぶりは目を覆うばかりだ。それに日本の過去のアジア侵略を否定した田母神俊雄・前航空幕僚長の論文「日本は侵略国家であったか」(総合都市開発会社「アパグループ」懸賞論文「真の近現代史観」)問題が加わった。95名もの航空自衛官が応募したというから少なくとも航空自衛隊は「靖国史観」に支配されていると考えられる。「文民統制」云々を通り越してクーデターの危険性も冗談では無く心配したくなる。
田母神氏は今年4月、名古屋高裁が自衛隊のイラクへの空自派兵を違憲とした時に、「そんなの関係ねえ」と記者会見で答えた前科がある。昨日11日の参院外交防衛委員会では自らの主張は「いささかも間違っていない」と持論を展開し、その後の会見でも日本の侵略と植民地支配を認めた「村山談話」を「言論弾圧の道具」と断言してみせた。
このような憲法、サンフランシスコ講和条約を否定する人物を空幕長にした安倍晋三ら自民党の「靖国史観」が改めて問われるべきだろう。
ちょうど、「毎日」11日朝刊で韓国の李明博大統領の会見の様子が報じられている。大統領は日中韓の合意によるアジア単一通貨構想の必要性を強調し、日韓の歴史認識問題では「私が『未来志向的に考える』と言ったのは歪曲された歴史を認めるということではない。日本は歴史を正しく判断できる位置にあるから任せて、未来に向かっていこうという趣旨だ」と説明した。
そうした中、第2次大戦中の従軍慰安婦問題で、今度は台湾立法院(国会に相当)が11日、日本に公式の謝罪と国家賠償を求める決議を採択した。田母神氏や自民党の歪曲された歴史観と偏狭な国家主義ではますます日本が国際社会の中で孤立化するのは間違いない。
未来志向のためにも早期の選挙による政権交代が不可欠だ。
● 鬼泪山「国有林」の山砂採取問題を引き起こした(株)ちばぎん総研のズサン極まりない調査報告書~問われる企業モラルと説明責任
鬼泪山「国有林」の山砂採取問題で10日に知事宛、「鬼泪山「国有林」の山砂採取に反対する連絡会」が申し入れしたことは11月11日付の大野博美県議のブログで要望書内容とともに報告されているのでごらんいただきたい。
さて、この問題の発端となったのは去る10月15日に閉会した千葉県議会において、請願「富津市鬼泪山国有林104林班ほかの山砂採取事業の、早期着手に向けての土石採取対策審議会の早期開催を求めることについて」が自民・公明の賛成多数で可決されたことであるが、県議会において請願採択の唯一の根拠となったのが(株)ちばぎん総研が作成した「国有林104・105林班開発事業に関する検討調査」調査報告書だった。
しかし、この調査報告書においては、事業推進の最終結論を強引に導き出すために、諸課題を過小評価あるいは無視する一方、あいまいな根拠を前提とした経済波及効果の試算が行なわれている。これは、中立公正であるべき調査研究機関(シンクタンク)として自殺行為に等しい行為であると指摘せざるを得ない。
連絡会は要望書に添付して「(株)ちばぎん総合研究所作成の「国有林104・105林班開発事業に関する検討調査」調査報告書に対する見解」書を提出したので、以下に紹介する。
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2008年11月10日
(株)ちばぎん総合研究所作成の
「国有林104・105林班開発事業に関する検討調査」調査報告書に対する見解
鬼泪山「国有林」の山砂採取に反対する連絡会
1.調査報告書の結論及び取り扱いについて
当該調査報告書は、課題を指摘しつつも、鬼泪山の山砂採取には経済波及効果が大きいことを理由に、事業推進の最終結論を導き出している。
最後のまとめと思しきページに「◇行政の果たすべき役割」という項目あり、「山砂採取の事業のあり方としては、『山の一部を削る』のではなく、『山全体を取り崩して、そこを平地として別の目的に活用していく』という発想が望ましいといえる。」という見解が述べられている。しかし、当該調査報告書には、こうした大胆な見解を述べるだけの研究や検証の実績がほとんどない。唯一客観的に導き出されている産業連関表を用いた経済波及効果の予測数値も、前提条件に仮定が多く、説得力は弱い。一方、述べられている課題は既に一般化されたものであり、当該対象地域の影響評価などのきめ細かな調査・考察は行なわれていない。山砂採取事業の推進という結論が最初にあり、その結論の正当性を補強するために、このような見解が記述されたようにみえる。
(1)こうした結論の導き出し方は、中立・公正な調査研究機関(シンクタンク)としては自殺行為に等しいといえるのではないか。当該調査報告書は、とうてい中立・公正な調査研究機関の立場で作成されたものとは思えない。
(2)当該調査報告書の発注者は、権威ある中立・公正な調査研究機関の意見として社会が受け入れることを期待し、請願採択の根拠として「国有林104・105林班開発事業に関する検討調査」調査報告書を提示しているが、ちばぎん総研は、千葉県の将来に大きな影響を及ぼす可能性のある発注者の取り扱いに全面的に同意しているのか。
(3)当該調査報告書が公の請願採択の根拠として取り扱われたことで、既にちば銀総研にも重要な社会的責任が発生していると考える。今後、ちばぎん総研は中立・公正な調査研究機関として、説明責任のほかに、当該調査報告書に記述されている経済効果の内容を精査すること、当該開発の課題解決に向けた詳細を研究調査すること、それらを実施するために関係者との対話・意見交換を活発化させることなどについて対応する責務がある。
(4)安価なコンクリート材料の供給と水を大量に使用する施工方法が不要不急の公共事業を推進し数十年という短寿命のコンクリート構築物を造ってきた。
循環社会の実現という面から、今後の公共事業の方向としてコンクリート再生骨材の利用、施工方法の見直しによる数百年単位の長寿命化の推進とともに、自治体財政の面からは既存施設の維持修繕による延命化が主流となり、新規の公共事業量は大幅に減少するものと思われる。
以上のことを一顧だにせず、国有林をつぶしてもコンクリートの骨材供給が今まで通り必要とすると主張するのは発注者に迎合した結果と思われる。
2.環境問題に対する取り組み姿勢について
環境問題は人類が直面する大きな課題であり、持続可能な社会を実現していくために、産官学民の取り組みが問われている。夏の洞爺湖サミットでは「地球温暖化防止」が主要テーマになり、千葉県においても「生物多様性保全」への取り組みが始まっており、環境に付加を与える経済活動や事業の見直しに多くの人の注目が集まっている。
千葉県には「法人の森制度」があり、当該対象地域の鬼泪山の国有林は、ちばぎん総研の親会社である千葉銀行が分収林の管理者となり「ちばぎんの森」と称して植林や下草刈等を行なっており、こうした環境保全活動が地域貢献として評価されている。
当該調査報告書は、経済活動を優先し環境についての十分な調査・考察が不足しており、通り一遍の課題の列挙にとどまっていることから、千葉銀グループ全体の環境ポリシーを疑わざるをえない。ちばぎん総研は千葉銀グループではあっても、独立した企業として経済問題と環境問題をリンクさせていく明確な方針を持つべきである。
3.産業連関分析の課題について
当該調査報告書が行なった客観的分析は、ほぼ「産業連関表を用いた経済波及効果分析」のみである。経済波及効果の数値「50年にわたって51億円もの経済効果が地域に波及する」は、現実には曖昧な数値といわざるをえない。
産業連関表による地域の経済効果予測は、地域経済が被るマイナス効果等は計算されないなど、単独では大きな意味を持っていない。例えば、環境が破壊されれば、被害を受ける産業や生活者があり、修復のためのコストなどが必要になるが、それらは考慮されない。産業連関分析だけの調査は、次のような欠陥があるが、一方で数字だけが過大評価される恐れがある。
■当該調査報告書では、平成12年の千葉県の産業連関表を用いており、平成12年時点の千葉県の産業構造が50年間もまったく変わらないわけがなく、あくまでも変わらないことを前提にした仮定の数字である。
■当該調査で意味を持つのは、富津市及びその周辺に限定された産業連関表であるが、それは存在しないので、報告書では千葉県全体の産業連関表を用いて試算されており富津市及び周辺の地域性などは考慮されていない。例えば、他県からの山砂運搬トラックが増加するだけでも、従事者の地元での消費行動は変化する。
(1)平成12年の千葉県全域の産業連関表で50年先まで予測することには無理があり、そのことのみから経済効果を予測するのは、少々無理がある。
(2)当該調査報告書の産業連関分析が特定の仮定を前提にしていることであることを発注者に十分に説明しているのかどうか疑わしい。当該調査報告書が公の審議・決断等にも影響がある可能性が出てきているが、ちばぎん総研は今後産業連関分析の限界について証言する責務がある。
4.山砂採取事業と地域振興の矛盾について
山砂採取や残土産廃による環境汚染、それに関連して走り回る大型ダンプ、これらが地元民の生活や他の産業に与える影響は広範囲である。一方で地域振興の方策として「観光立県ちば」、「ディスティネーションキャンペーン」と称して、房総地域には資金や労力が投入されてきている。千葉県は「住んでいいまち、訪れていいまち」とまちづくりの方向性についての言葉を並べているが、訪れていいまちは、住んでいいまちでなければならない。しかし、こうした千葉県の産業構造の矛盾が観光地のブランド力が向上していかない状況が生み出している。
当該調査報告書は、当該開発対象地域の山砂採取による雇用効果を、年間284人と算出しているが、これだけの効果があったとしても、むしろ観光産業や一次産業を育てていくことでそれ以上の雇用効果を生み出し、地域活性化や地域福祉につながっていく可能性もある。
(1)当該調査報告書は、作成者の作文ではなく、関係者や専門家に対するヒアリング調査も行なっていると思うが、ヒアリング先やその内容を明示すべきである。
(2)ちばぎん総研は、会社案内等で「地域密着型シンクタンク」を表明しており、房総の将来ビジョンについて、自主的に開かれた場で議論し、公に政策を提言していく役割がある。