教育委員会会議の形骸化と浦安小強制わいせつ事件
~2月17日の予算委員会質疑より
●教育オンブズパーソン制度
【川本】まず、教育オンブズパーソン制度について伺います。
5日の代表質問で会派の吉川県議が浦安小学校における教員による児童への強制わいせつ事件との関連で、「教育の現場において、児童・生徒・保護者の訴えを公正・公平に受け止めて、迅速な対応を行うことができる教育オンブズパーソン制度を設置すべきだ」と質した。
この事件は、保護者から訴えがあっても県教委は市教委まかせで市教委の言い分をうのみ、市教委は学校まかせ、学校は教員を守る、という構図の中で、保護者の方はやむにやまれず裁判に訴えたものだ。児童生徒保護者の訴えを真摯に受け止める仕組みがあれば裁判に至らなかったと思う。
また、昨年9月議会の代表質問で私は、県立高校の特別指導中、教員が密室で生徒を恫喝しそれによる中途退学に至った問題を取り上げた。この被害を受けた子供の保護者らも安心して訴える場がない。
吉川県議の質問にたいし、教育委員長は、「相談できる環境づくりに努める、職員を指導助言してまいります」とし、オンブズパーソン制度の設置は不要とした。
しかし、そうした環境がない実態があるから制度の設置を求めたもので、教育現場の現状に無知な答弁だ。
改めて伺います。
セクハラ問題や特別指導中の不適切行為などを踏まえ、教育オンブズパーソン制度等の設置に向けた検討が必要と考えるが如何か。
【答弁】佐藤教育長
セクハラ問題については、各学校にセクハラ相談員を置き、児童・生徒がどんなことでも相談しやすい環境づくりに取り組んでいるとともに、教職員及び児童・生徒のセクハラに対する認識を一層深めるため、県立学校の全教職員と生徒を対象に、セクハラ実態調査を実施しているところです。
また、特別指導は、生徒に深く反省を促し、再び健全な学校生活に戻れるようにすることが大きな目的であり、その過程でやむなく進路変更にいたる場合もあるものの、各学校においては、家庭と十分連絡をとりながら、教職員が粘り強く生徒の立ち直りに努めているところです。
いわゆる地教行法の改正では、効果的な教育行政の推進や住民への説明責任等の観点から、教育委員会が自ら点検・評価を行い、その結果を議会に提出し、公表することとされました。これを受けて、教育委員会は外部の学識経験者の知見を活用しつつ、点検及び評価を行っており、現段階においてオンブズパーソン制度の設置については考えていないところです。
【川本】職員が対応するといっても、それには子供、保護者と学校との間に信頼関係が不可欠だが、そもそも問題が生じるところはそうした信頼関係がない。また担当する職員は保護者らにとって公正中立な第三者的な立場ではありえないし、こうした問題に対応するには法律家、医師、学識経験者、子どもの人権関係の専門家などの知見が不可欠だが、教員は子どもに学力をつける専門家ではあってもこうした専門家ではなく、また多忙な日常業務を持つ。専門家でもない職員に適切な対応などできるはずがないがどう考えるのか。
【答弁】和田教育総務課長
先ほど答弁したとおり、教育オンブズパーソン制度の設置については考えていないところですが、教育行政における課題が多様化している現在、適切な生徒指導を含めた充実した教育を推進していく上で、学校を支援していく仕組みにつちえ、国や他県と連携して研究してまいります。
【川本】浦安の強制わいせつ事件の控訴を検討した1月21日の教育委員会会議の議事録によれば、一人の委員の「今後は、ぜひ被害をきちんと述べることができない人に対するこのような事件が二度と起きないよう、県の教育委員会として、いろいろと工夫をこらして、再犯予防に努めていただきたい」という発言もある。
県教委は校長以下教職員の評価と人事の責任が問われるという点で公正中立な第三者ではない。教育オンブズパーソン制度等の設置に向けて検討をすることを重ねて求める。
●教育委員会会議の在り方
【川本】次は、教育委員会会議の在り方について伺います。
去る1月22日、大津地裁で、行政委員に月額報酬を支給しているのは「勤務日数に応じて支給する」と規定した地方自治法に違反しているとし、滋賀県に支出差し止めを命じる判決が出された。今後、行政委員の業務実態に応じた報酬のあり方という点で議論になることと思うが、これは教育委員会の委員についてもあてはまる。
教育委員会会議は月1回2時間程度開催されているが、県民が注目するのは県教育行政の責任者と位置付けられている教育委員がその使命をきちんと果たしているのかというものだ。
しかし、本議会の議案で出されている浦安市立小学校における教員によるセクハラの損害賠償請求事件の控訴手続きに際し、会議も開催されず事後報告で済まされ、後に開かれた教育委員会会議は控訴を疑問視する意見が多数を占めたものの控訴済みということで安易に追認された。これでは教育委員として県民が望む実態がないといわざるを得ない。
1月21日の会議議事録によれば、一委員は「一個人の意見としては、本当はこのまま終結した方がのぞましかったのではないか」と発言し、別の委員は「個人的な感想としては、この程度の重さで判決がおりているのであれば、早くきとんとしてあげた方がいいと思うので、県、市側がこのまま受け入れてもよかったのではないか」と発言している。
そこで、こうした実態を踏まえて、行政委員の月額報酬に関する大津地裁判決と県教育委員会会議の形骸化についてどのように考えるのか。
【答弁】同
教育委員は、議案等に関して、委員会会議における審議のほか、様々な視点から、事務局に説明を求めたり、地域住民等との意見交換会や委員協議会、委員勉強会を頻繁に開催して、状況把握や調査・研究に努めているところです。
それを踏まえ、教育委員会議において、教育行政の基本に属する需要な事項について、大所高所から、審議・議決を行っているところです。
【川本】浦安の事件の控訴手続きについて多忙を理由に集まれないような方々を委員に任命するのが間違いではないか。
そもそも、教育委員会は、自治体の長から独立し委員の合議により、大所高所から基本方針を決定しそれを教育行政の専門である教育長が執行するという、いわゆる「レイマン・コントロール」の下に運営されねばならない。しかし、昨年の12月議会で教育委員の人事案件の討論で私が指摘したとおり、
・事務局の提案する議案のすべてを何の異議もなく全員一致で採決
・少なくとも過去3年間1件も委員からの議案発議はありません
・議事録で発言者が無記名であり発言に対する責任意識が薄い
・県立高校校舎転落事故、県立高校入学式排除問題、中途退学と特別指導、学校施設基準、学校現場における子どもの人権などについての、教育委員会会議の無関心な実態がある。
教育長と事務方が教育行政を動かし、教育委員は名誉職化して意義を発揮しない存在になっている。そこで伺う。
レイマン・コントロールに向けた教育委員の意識改革の取組と県民への説明責任を果たす必要があると考えるがどうか。
【答弁】同
教育委員は、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、知事が議会の同意を得て任命しています。
教育委員は、基本的かつ重要な方針や施策等の策定に当たって、市町村教育委員会や他の幅広い分野の方々との意見交換を実施したり、学校視察やミニ集会、タウンミーティング等に積極的に参加したりして、地域の教育ニーズの把握に努め、県民の意向を施策に反映させているところです。
さらに、今回の法改正に伴い、先ほど答弁した教育委員会活動の自己点検・評価の中に、教育委員自らの活動の取り組みを記載し、議会に報告するとともに、県教育委員会ホームページに掲載し、広く県民に公表したところです。
【川本】そもそも5人の委員は県教育行政の責任者と位置づけられているにもかかわらず、教育長を除き、教育委員長をはじめ4人の委員が非常勤で良しとしていることが問題。その結果、教育委員会会議の形骸化が進み、事務方が実質的にすべてを取り仕切ることになる。本来、「教育再生」というならこの点が真っ先に改革されるべきものだった。
レイマン・コントロールが機能する教育委員会会議の再生の取り組みを是非新年度は実施することを求める。
●教育委員会の障害者雇用
【川本】次に、教育委員会の障害者雇用について伺います。
一昨年の12月議会で小宮清子議員の一般質問で、障害者雇用の法定雇用率の達成に向けて、厚生労働大臣からの勧告を受けてH20年には法定雇用率を達成できるよう3年計画を出したと答弁している。そこで伺う、
障害者雇用に向けて法定雇用率2.0%達成に向けた取り組みと達成状況はどうか。
【答弁】同
障害者の雇用は、平成17年度の169人、雇用率1.12%から、平成20年度には229人と60人増加し、雇用率も1.48%に伸びたところですが、残念ながら法定雇用率の2.0%には達していない状況です。
このため平成18年度から教員等を対象とした身体障害者特別選考を実施しているほか、中央図書館において、知的障害者を嘱託職員に雇用するなど障害者の雇用促進を図ってきたところです。
さらに、平成20年12月に教育庁内にプロジェクトチームを設置し、新たな職域の開拓や採用等に向けた広報・啓発など具体的方策の研究を進めているところであり、引き続き、法定雇用率の達成に向け努めてまいります。
【川本】応募者が少なければ、職域を広げる、学校で教職をとる段階から障害をもった方にもきちんと広げる、施設整備など学校側の受け入れ態勢を整える、などハード、ソフト両面の整備を求める。
●博物館行政
2002年に出された行財政改革の結果、01年と09年の比較では予算ベースで35.5億円が21.2億円と4割減と大幅に削減され、博物館員も01年146名が08年ベースで108名と約3割減と予算、人員が大幅に削減されている。
県立博物館予算削減のなかで、生涯学習、地域文化創造の中核拠点施設として機能を発揮できる保証があるのか。
【答弁】佐藤教育長
千葉県には、中央博物館や美術館など6つの県立博物館があり、様々な分野の専門職員が配置され、また収蔵している資料にも貴重なものがあります。専門的学術団体から一般県民までが幅広く集い活動する場を提供しています。
今後も、一人ひとりの職員が様々な工夫やアイデアを出しながら、博物館に蓄積されている専門的知見を最大限活用して、より開かれた博物館を目指していきたいと考えております。