千葉県議会「政策情報」NO. 30(発行:H21年2月27日)に、森田、白石両氏が熱心な「成田~羽田リニア」の情報が掲載されている。
国土交通省の久保成人鉄道局次長が自民党の国際競争力調査会で総事業費の試算として「大胆に仮定すると3兆円程度」と述べたという。
3兆円とは批判の強い2兆円の定額給付金の上をいく代物だ。同調査会が熱心だというから、森田、白石両氏も無駄な公共事業(今建設中の成田新幹線はどうなるのか?!)であることや財源がないこと、ストロー効果による成田地域の疲弊、電磁波による健康被害、リニアの不採算性など検討することも忘れて、自民党の票欲しさと千葉県民を「パフォーマンスで容易に動く」と軽く見て、「リニア」実現を叫んでいるに違いない。
政府与党内では09年度予算成立後、経済対策として20兆円規模の補正予算を成立させる動きがあるというが、それは「賢明な支出」という「目先の需要喚起のみにとらわれるのではなく、新たな発展を用意するものでなければならない」し、そもそも「地域振興や地域再生は公共事業に頼らない別の道を通じて行われるべき」で「地域資源の活用などを軸にした内発型の地域振興」を柱にすえるべきだ。(「毎日新聞」2月28日社説)
悪夢の再来は御免だ。
●道路イデオロギー=交通量主義から脱却し、交通需要を抑制する都市づくりを(その1)
~2000年尼崎大気汚染訴訟・神戸地裁判決の根拠となった千葉県内の健康被害の深刻化
千葉県のみならず全国の都市計画は、容積率を含む土地利用規制の乏しさを放置することにより、あたかも自然発生したかのような膨大な交通需要を作り出し、それを口実に道路整備するという手法で進められてきたように思う。都市の成長管理という視点はなく、車の「無政府状態」を放置し、結局、自動車産業と土木業界の振興を最優先した。
文科省学校保健統計調査結果では、97年~07年の10年間でも、ぜん息被患率は倍増し、とりわけ大都市部においては増加が顕著だという。(「微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準設定を求める意見書」日本弁護士連合会)(PDF)
その原因は何か。2000年1月31日の尼崎大気汚染公害訴訟の神戸地裁判決は、米国ではPM2.5(粒径0.25㎛以下の微小粒子状物質)の人体への危険性が明らかにされ厳しい大気質基準が提案されていること、幹線道路沿道地区の危険の増大は「自動車由来の」粒子状物質による影響であり、軽油の不完全燃焼によって発生するディーゼル排気微粒子(DEP)の関与が最も疑わしいと指摘した。
米国は06年にPM2.5の環境基準を強化(年間基準(年平均値の3年平均値)15μg/㎥)し、WHOも同年ガイドラインを設定(年間平均濃度10μg/㎥)した。
その後、07年の東京大気汚染訴訟の和解条件の一つにPM2.5の規制に向けての検討が国に課されたことから、ようやく環境省も検討を加速させ、環境基準設定に向け専門委員会を毎月開催している。
ところで、神戸地裁判決が排ガスと疾病との間の因果関係を認める根拠としたのが、千葉県が千葉大学医学部に委託して92年度から95年度まで行った県内11校の小学校児童を対象とする調査(千葉大調査)の結果である。千葉県都市部の幹線道路の沿道地区(千葉市、柏市、市川市および船橋市の国道6号、14号、16号、京葉道路および湾岸道路の沿道50m以内)に居住する児童は、幹線道路がない田園部(市原市、館山市、茂原市、木更津市)に居住する児童と比較しておおむね4倍の確率で、気管支喘息を発症する危険があるとの解析結果が得られている。
2000年1月の神戸地裁判決は千葉県の道路・環境行政を裁いたと言える。私は2000年2月初めに県庁環境部を訪ね、この地裁判決を千葉県としてどう受け止めたのかを担当者に問うた。その時のことを9年たったいまでも覚えている。無反応だった。
判決は「その限度を超える供用が沿道居住原告にもたらしている侵害は、単なる生活妨害というものではなく、従来どおりの供用の継続は、沿道の広い範囲で疾患の発症・憎悪をもたらす非常に強い違法性があるといわざるをえず」としている。
環境省発表のデータ(PDF)では県内3箇所(市川市真間小学校、市川市塩浜体育館、野田市16号線沿い)でPM2.5が測定されているが、WHOガイドラインのみならず米国環境基準をも超えるレベルにある。
環境省による厳格な環境基準の早急な設定とともに、通行車両の車種(ディーゼル車)と通行量の制限が求められる。