ソウル視察(4/22~25)報告②
知識人コミューン 研究空間「スユ+ノモ」
28日午前は県ネット運営委員会に出席、知事選総括などについて話し合う。
夕方、県立高校の「特別指導」中の「指導」により中途退学に追い込まれた生徒の保護者と学校との話し合いに同席する。
「特別指導」とは問題行動を起こした生徒に対して登校させない授業を受けさせないという「懲戒」処分である。自宅「謹慎」が基本で、それが困難な生徒は学校において他から隔離された場所で「自習」となる。処分に不服のとき、それを申し立てる場もない。ある学校では、いじめに加担したと一方的に断定され、やむを得ず退学したという話も耳にする。
「特別指導規程」で「3回以上の指導を受ける生徒に対しては原則としてその都度退学勧奨を行う」と定めている学校もある。
かつての大日本帝国陸軍には営倉という懲罰房や営倉より軽い処罰として外出止めなどがあった。「特別指導」もこうした軍隊の流れを汲んでいるのだろうか。
それはともかく指導の教育上の効果についてまともな調査研究報告もないようだ。
日本国憲法は、個人の尊重を最高の価値(憲法13条)とし、人権保障のために憲法で国家権力に歯止めをかけるという、立憲主義の構造にある。一方、「改正」教育基本法第1条は、国家のための個人の育成が、教育の目的となっている。この規程は憲法違反といえる。(「教育基本法「改正」後の教育」三上満、伊藤真ほか著、草土文化)
「特別指導規程」の上意下達、機械的な適用による、教育現場の管理強化、生徒の切捨てが危惧される。
● 経済的自立と学びの場が両立する研究空間「スユ+ノモ」
99年、水踰里(すゆり)というところに小さな勉強部屋を確保し、少数の韓国文学研究者が集まってセミナーを開くようになったのがこの研究空間のはじまりという。その後、社会科学者らも講座を開くようになり、さらに新しい人々が集まり、研究、講座のみならず食事、卓球、散歩、登山、ヨガなども一緒に行うようになればなるほど人がどんどん増えていった。
研究空間「スユ+ノモ」とは「知識と日常がひとつに折り重なりあい、日常が再び祝祭になるという奇妙な実験がなされる場。都市の中産層に入っていかなくても、幸せに暮らす方法を模索できる場。革命と求める道が一致するようなビジョンを探索する場」と定義している。(「ようこそマシーンへ~研究空間「スユ+ノモ」について」より)

写真は研究空間「スユ+ノモ」のカフェ、事務室、保育室
24日昼前、ソウル市の南山にあるビルの1フロアーを占める研究空間を岡田卓己さん(韓国・啓明文化大学教授)に案内されて訪ねる。朴昭良さんが、研究スペース(図書資料類、パソコンが揃っている)、セミナー・会議スペース、保育スペース、卓球場、食堂&調理場(古着も置いている)、カフェ(夜は酒場+音楽室(大量のCD,レコード)+図書室)スペースを案内してくれた。
この研究空間はイデオロギーありきではなく、まず若い研究者がお金が無くても安心して研究に専念できる場だと言う。現在、一般会員60名、セミナー会員100名位で、一般会員の会費は月に3万ウォン以上(2700円以上)、セミナー会員の会費は月15000ウォン(1300円)と決められ、昼食(食材は寄付)は1800ウォン(160円)、徹夜作業の研究者のための睡眠部屋もある。宿泊場所の無い研究者のためにゲストハウスもあり、月10万ウォン(9000円)、日5000ウォン(450円)で泊まれる。事務員も調理員も清掃員もおらず、会員がそれぞれ分担し合う。昼食を調理すればその分手当てがもらえるから、お金が内部で循環する。ただし、料理の調理が大変な労働になると研究の時間が確保できないので、肉食は制限しているという。
「痕跡を残さない」という倫理規範がすべてに徹底している。ソース一滴、米一粒に至るまで食べ物を残さず、要は食器をご飯を食べる前とほとんど同じ状態にしなければならない。私も昼食をいただいたが、最後はお皿の汁を拭いた一切れのパンを口にし、食器を水洗いして元に戻した。
おいしい食べ物があれば人が集まること、食卓を共有することを重視している。私がのぞいた部屋では果物や野菜を盛った大きな3つの皿を囲んで会議をしていた。
経済面(お金)と学び(知)を分かち合う生活空間が「スユ+ノモ」だ。

