29日臨時県議会開催、北朝鮮核実験実施についての幻の討論と決議案
29日、臨時県議会が開かれ、午後は6月定例県議会(6月11日~7月8日)の会派への議案説明(補正予算案5議案、条例一部改正案36議案)が行われた。
臨時県議会では、25日の北朝鮮の核実験について意見書「北朝鮮の地下核実験及び弾道ミサイル発射を糾弾する意見書について」が全会一致で採択され、森田知事が声明を読み上げた。
この意見書については、事前にわが会派「市民ネット・社民・無所属」以外が合意した案が提示されたが、①「わが国独自のあらゆる制裁措置等を併せて実施すべき」となっており、軍事的対応も含めて政府に白紙委任するものととらえられかねない、②制裁措置を求めることに重点がおかれ、肝心の「対話と交渉」の視点が弱い、などの問題があった。会派として、①については「あらゆる」の文言の削除を求めること、②は議会運営委員会でその旨を主張し記録に残すこととし、①が了承されない場合、反対討論を行い、独自の決議案を出すこととした。以下に幻の「反対討論」と「決議案」の草稿を示す。
また、森田知事の核実験に対する「声明」については、その内容に「軍事的対応」を求める文言があれば直ちに「緊急質問」を求めることとしていたが、それには及ばなかった。
● 北朝鮮核実験意見書案に対する「幻の討論」
北朝鮮の地下核実験及び弾道ミサイル発射を糾弾する意見書案について、北朝鮮の核の脅威を完全に除去するという目標達成を真に実現する立場から不十分であると考え、反対討論します。なお、北朝鮮の核実験については、この討論とは別に、後ほど会派として決議案を提出し、趣旨説明をさせていただきます。
25日の北朝鮮の核実験は、「いかなる核実験または弾道ミサイルの発射もこれ以上実施しないこと」を求めた2006年の国連安保理決議1718違反であり、「一切の核兵器および現在の核計画を放棄」すると合意した2005年の6か国協議の共同声明に違反するものであり、許しがたい暴挙であることは言うまでもありません。
そして、オバマ大統領の核廃絶政策の提唱をはじめ、世界が核廃絶に向けて動き始めたこの時期に核実験するという、まさに国際世論を踏みにじるものであり、本意見書案が言うとおり、どのような口実によっても正当化されるものではありません。
そのことを踏まえた上で、意見書案について、2つの点について指摘します。
意見書案では、「我が国独自のあらゆる制裁措置等を併せて実施すべきである。」としています。
制裁を独自で進めてきた日本政府内では「あの手この手でやっても、北朝鮮は無視する」との徒労感も聞こえると報じられています。外務省の藪中三十二(みとじ)事務次官は会見で、「今までの日本外交が機能しなかったという面が結果としてあるかもしれない」と述べ、日本の独自の制裁が機能していない現実を認めました。
一方、この機に乗じて、政府が年末に改定する「防衛計画の大綱」に向けて、自民党国防部会の防衛政策検討小委員会が26日、敵基地先制攻撃論や武器輸出三原則の見直し、巡航ミサイルの導入などの提言案をまとめたことが報じられています。「攻撃は最大の防御」とばかりのこうした動きは、アジアに不安定要因をつくりだし軍事的な緊張を強めるものに他ならず、外交カードを何枚も失う結果になります。
意見書案の「我が国独自のあらゆる制裁措置等を実施」することによって、新たな軍事的緊張を生み出してはなりません。私たちは、「あらゆる制裁措置等の実施」を求めることにより政府に白紙委任状を与えてしまうことを危惧します。
2点目に指摘したいことは、核の完全廃棄とミサイルの脅威の除去を現実のものにするには、北朝鮮との対話、交渉を積極的に進める行動こそが要請されるということです。拉致問題をめぐる日朝協議は昨年8月以後は開催されず、6カ国協議も昨年12月の会合を最後に空転が続いています。対話と交渉を通じた核の緊張の解消や朝鮮半島の平和体制への転換こそが、協議に参加する6カ国はもちろん世界の多くの人々が共感する解決方向です。しかし、意見書案では「最大限の外交努力」を要望しているものの、この肝心な点が明記されていません。北朝鮮の脅威を除去するためには、日朝両政府間に正確な情報を交換するチャンネルがない現状をまず改める必要があります。
以上、2点ほど、北朝鮮の核の脅威を完全に除去するという目標達成を真に実現する立場から本意見書案内容では不十分であることを表明し、討論をおわります。
● 北朝鮮の核実験に対する決議案草稿
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核実験に抗議し、同時に世界からの核廃絶を求める決議(案)
朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)政府は5月25日、2006年10月9日以来、2回目の核実験を行った。
北朝鮮の地下核実験は、朝鮮半島及びアジア全体に対して脅威を与えるのみならず、地球市民がめざす世界の非核化に逆行する行為であり許されることではない。この度の北朝鮮による核実験はいかなる理由によっても正当化できるものではありえない。私たちは北朝鮮の核実験に強く抗議し、同国が核兵器を放棄し、一切の核の軍事施設及び関連実験施設を放棄するよう、要求する。
核兵器と人類は宇宙空間においても、この地球上においても決して共存はできないことは自明であり、世界の全ての核保有国は核兵器を廃絶すべきである。いま、求められているのは世界的な非核・平和の確立であり、そのための真剣な対話と協議である。
従って、北朝鮮政府はただちに「6カ国協議」に復帰し、東北アジアの平和のために各国政府との対話をすすめるべきである。また、日本政府はそのための政治的リーダシップを発揮すべきであり、世界最大の核保有国の米国政府と足並みをそろえて制裁を強めるなど、いたずらに北朝鮮を敵視し、東北アジアの緊張を激化させる行動をとるべきではない。
世界平和の達成という人類の崇高な願いは、対話を通じた平和的及び外交的解決によってのみ為されるものと確信する。
よって、千葉県議会は北朝鮮の核実験に強く抗議すると同時に、米国等の世界のすべての核保有国に対しても、北朝鮮への要求と同等の平和への取り組みと核廃絶を要求し、ここに決議する。
2009年5月29日
千葉県議会
提出者
「市民ネット・社民・無所属」
大野博美
川本幸立
小宮清子
吉川 洋




