2010/3/1 月曜日

内部告発文書「千葉県庁の『やましき沈黙』~不正経理問題の根深い温床」

カテゴリー: 県行政, 県議会

 18日に吉川洋県議の自宅に、内部告発文書が郵送されてきた。
文書の表題は、「千葉県庁の『やましき沈黙』~不正経理問題の根深い温床」とあり、「昨年9月以降、大きく報道されている千葉県庁の不正経理問題に関して、その背後にある問題について一県職員として明らかにするものです」ではじまる、A4の7枚の文書である。
 
「やましき沈黙」とは、文書中の注記で、「昨年放送されたNHKスペシャル『日本海軍400時間の証言』の中で反省会の元参謀が、海軍が推し進めた特攻作戦について、過ちと分かりながらなぜ当事者は沈黙し『特攻』を推し進めていったのかについて『やましき沈黙』の言葉を吐露している」とある。

 全体の構成は以下の通りである。
  1.はじめに
  2.不正な経理操作について
   (1)経理操作の方法
   (2)隠された実態
  3.何が問題なのか。~県民に背を向けた行政
   (1)組織的な隠蔽工作について
   (2)自浄作用が働かない組織の体質~公益通報制度の形骸化
   (3)県議会の監視機能
  4.人事組織の腐敗と評価機能の不全・・・内なる金権人事の宿悪
   (1)形式的な成果主義の導入
  5.千葉県庁の「やましき沈黙」
   (1)責任の所在
   (2)是正の機会はあったのに
   (3)幹部職員の「やましき沈黙」と責任
  6.再発防止策について
   (1)物品調達方法の改善
   (2)人事部門の刷新・改革
   (3)職員の意識改革に向けて
  7.おわりに 

● 「早期の終息を急ぐ余り組織の何が問題かなど事件の核心部分があいまい」

 「1.はじめに」では、不正は5期20年に亘る沼田政権時代から繰り返され、堂本県政は当時の県幹部の多くが沼田県政時代の財政課長等を歴任した人物で占められ、過去を暴くことは、堂本政権にとっても自民党との軋轢を生じさせるなど得策ではない考えたことから、千葉県では自浄作用が働かず、幹部職員はひたすら沈黙を守り続けた、と指摘した上で、次のように述べる。

「昨年4月に就任した森田健作知事は、この不正経理問題に関して膿を出し切ると重ねて発言しているが、早期の終息を急ぐ余り組織の何が問題かなど事件の核心部分を曖昧にしたまま、大量の職員懲戒処分とこれを根拠にした管理者への損失額の一律返還措置を図っています。
 実質的に高度な管理監督責任を負うべき立場の一握りの幹部職員・組織関係者の当然解明されるべき事実を隠蔽したまま、一件落着とさせるには、余りにも今回の事件は根深いものを抱えているものと考えます」

●「公益通報制度は形骸化」

 千葉県は昨年11月にコンプライアンス委員会を設置し、所掌事務の一つを「公益通報(内部通報)事案への対応の検証及び助言、並びに通報相談に関すること」とした。4名の外部委員で構成され、事務局は総務部総務課行革室である。
 この委員会の助言を受けながら全庁を挙げて取り組むためにコンプライアンス推進本部も設置され、公益通報(内部、外部)があった場合の対応も所掌事務の一つだ。体制は、推進本部の本部長が知事、副本部長は両副知事、実働部隊である推進チームのチームリーダーは総務部理事、事務局は総務部総務課行革室である。
 
 なぜ、この公益通報制度を利用しなかったのか?これについて文書には次のように記されている。
「因みに、平成9年には、今回の不正経理に関する内部告発があったにも拘わらず、窓口の総務課では意図的に握りつぶしていたことは県議会においても取り上げられていますが、追及はうやむやにされているのが現状です。
 今回も、本来ならば、昨年11月に一部改正された公益通報制度(要綱)に則り、実名で多くの職員の思いを公にすべきと考えましたが、現実は、総務課人事当局の苛烈な追及が待っており、当局の犯人探しを回避するためにも、やむを得ずペンネームによる投稿とせざるを得ませんでした。」
「既に触れたように不正経理操作に関して、匿名での内部告発は握りつぶされ、顕名の告発ならば人事の制裁はおろか組織内の居場所がなくなるほどの露骨な嫌がらせ人事が待っています。今回の改善策の目玉として、総務部当局は内部告発のし易さを揚げていますが、現状では殆ど機能し得ないのは明らかです」

●「言論統制の厳しい中、県職員の良心を代弁して訴え続ける」

文書の最後の「7.おわりに」の全文を紹介する。
「繰り返しになりますが、過去に行った不正会計操作に関しては、証拠書類も廃棄され、飲食・ゴルフ接待等の事実についてこれを証明する書類を提示することは極めて困難です。仮に書類が残っていたとしても、5年以上が経過した現在、法的責任を問うことはできないと考えますが、関係書類の道義的な責任は残されているのではないでしょうか。
 職員の一人として組織の浄化が一歩でも前に進むなら、不正相当金額に対応した返還金負担も吝かではないと考えております。何れにせよ、過去の利権化した人事担当幹部に我々県庁職員が左右され、県民に背を向けた行政が続くのは、県政の危機でなくてなんでありましょうか。
 今後とも、内部的には言論統制の厳しい状況下、自由な発言の機会に恵まれない多くの県職員の良心を代弁して、何が県民のためになり得るかの視点から、必要な訴えを続けていきます。
 おわりに、他県のように一刻も早く千葉県庁の旧来の悪弊が明らかにされ、組織内の自浄力が健全に機能することを心から願ってやみません。」
 
●小宮総務部長の調査拒否の根拠は何か?

 26日の代表質問で、小宮清子県議が重ねて告発内容について調査を求めたのに対し、小宮大一郎総務部長は「告発文については調査を行うつもりはない」と答弁した。
 実はマル秘文書として告発文書を、24日午後、知事室に吉川県議と赴き、知事、両副知事、総務部長に渡していた。「一部を調査し問題なかった」というが、ほんのわずかな時間でどのような調査を実施したのか、なぜ調査しないのか今後ただしたい。
  
 告発文で指摘され、調査が必要だと思う項目を以下に記す。
 ① 総務部の財政・人事管理部門への庁内接待と裏金づくりの真偽
 ② 県庁生活協同組合と県との経理処理の実態
 ③ 総務部幹部職員によるもみ消し工作(関係文書廃棄)の真偽
 ④ 旧態依然の親分・子分関係の有無
 ⑤ 実名で指摘された方々への聴き取り
 ⑥ 議長就任祝賀会への支出の実態
 ⑦ コンプライアンス委員会、推進本部の実効性

【参考】東京新聞2月27日朝刊千葉中央版
 不正経理 匿名で内部告発文書
 ~代表質問で県議が追及 県側調査せぬ意向

 県の不正経理問題で、市民ネット・社民・無所属の小宮清子県議は26日、匿名の県職員から同会派に届いたとする内部告発文書の存在を、県議会の代表質問で明かした。
 文書は「公表されていない実態」として、「県庁生協から白紙の請求書をもらい、架空の請求により必要な現金を作り出す手法」などがあると指摘。「当局の犯人探しを回避するため」、県の公益通報制度を避けたとしている。18日に、同会派の吉川洋県議の自宅に届いたという。
 小宮県議は24日、質問の資料として県に告発文書を提出。代表質問では「内部告発文書を受け止めて、しっかり調査するか」とただした。小宮大一郎総務部長は一部を調査し、問題はなかったと説明。「告発文については調査を行うつもりはない」と答弁した。
 県総務課は告発文書について「客観的な事実に乏しい」と指摘。内部告発制度については「外部委員にも通報できる制度になっている」と説明した。

HTML convert time: 0.586 sec. Powered by WordPress ME