6月県議会県土整備常任委員会(6月14日)報告⑤~八ツ場ダム建設代替地の安全性について
建設中止が打ち出されている八ツ場ダム事業で、水没予定住民の移転先の一つである「川原湯地区打越代替地」の造成工事について安全上、次の3つの深刻な問題が指摘されている。(「専門家に学ぶ一から分かる八ツ場の地質学習会」10年4月11日資料)
①現在の「宅地防災マニュアル」に基づく安全性の検証がされていない。
②「川原湯地区代替地造成実施設計業務報告書」(平成15年3月、セントラルコンサルタント(株))は杜撰な報告書である。
③土質工学の専門家に打越代替地の湖岸側法面の安定計算の試算を依頼したところ、委託報告書の設計法面では「宅地防災マニュアル」の許容安全率を下回る結果が得られた。
この計算結果から見ると、打越代替地の現在は「宅地防災マニュアル」が求める許容安全率を満たしていない可能性が高い。
したがって、現在の「宅地防災マニュアル」に基づいて打越代替地の安全性をあらためて検証する必要がある。
これについて、県土整備常任委員会で質した。
●常任委員会(6月14日)質疑応答詳細
・地すべり、崩落の危険性が!安全基準を満たしていない
【川本】八ツ場ダムの建設代替地の造成工事については県も費用を支出している。
1.八ツ場ダム建設代替地の安全性について、国の「川原湯地区代替地造成実施設計業務報告書」を入手して専門家より検討した結果、この造成工事の安全性について不足しているのではないかということが指摘されている。
専門家が指摘した点の一つは、旧宅地防災マニュアルに従っているため、「水をためる前」「ダム満水時」「ダム湖の水を抜いたあと」の3つの状態について、平時と地震時の計6つのケースを計算したところ、平時のダム満水時の安全率以外は新しいマニュアルが求める許容安全率(平常時1.5、地震時1.0)を下回っており、非常に問題があるということが指摘されている。
2.また、法面勾配を1:2.8としているが、実際の工事は、それよりもきつい1:2.5で行っているということで、断面形状に合わせて安定計算をするということを行っていない。
3.その他、貯水前の安全率の計算では、盛土内の地下水の影響を無視したことが指摘されており非常に問題である。
4.新しい宅地防災マニュアルに従って、代替地の設計を検討するということを、県としても国に求める必要があると思うがどう考えているのか。
【大林河川整備課長】
1.川原湯地区代替地造成実施設計業務報告書の妥当性についてですが、現在、国が安全性を含めて技術的情報の整理を行っていると聞いています。
本県としても、代替地の安全性は大変重要な事項であると認識しており、安全性の検証結果について注視してまいりたいと考えています。
2.代替地の法面勾配の設計に2割8分の勾配を使っていたということについてですが、国の説明によれば、盛土法面を単純化して、その勾配を2割8分として安定計算を行ったとのことです。
代替地の設計にあたっては、河川砂防技術基準等に基づいた安定性の解析を実施しており、これまでに、その安定性を確認していると聞いています。
2割8分の設計に対して、2割5分小段付き断面で施工した場合において、安全性の低下がないことについて解析により確認済であると聞いています。
3.地下水の問題についてですが、八ツ場ダムの移転代替地は、透水性の高い盛土材を使用するとともに、盛土内に排水施設を設置することにより、盛土内における地山等からの地下水の影響を無視できる程度まで軽減させる設計をしていることから、「完成直後」の安定計算では、盛土内の地下水を考慮していないと聞いています。
八ツ場ダム建設事業において建設される構造物の安全性は、事業主体である国土交通省の責任において確保されるものと考えており、国土交通省からは法令上適正な代替地を提供していく考えに変わりはないと聞いています。
4.新しいマニュアルに沿って検討すべきとのことですが、先ほども申し上げましたとおり、この宅地造成にあたりましては、国の河川砂防技術基準をもとに設計しております。
この宅地造成にあたっては、平成18年度に改正された宅地造成規制法以前に宅地造成に入っており、その代替地の区域が「造成宅地防災区域」の指定にあたっての外形的な基準に該当するかの確認が行われている段階であり、判断権者である群馬県の要請に応じて、八ツ場ダム工事事務所において技術的情報の整理を行っているところと聞いています。
【川本】宅地防災マニュアルの新しい基準に従って、国土交通省のほうで検証・チェックを行っていると考えてよろしいか。
また、検証結果が出されるのはいつ頃か。その内容についてはオープンにされるのか。
【河川整備課長】代替地の区域が造成宅地防災区域の指定に該当するかどうかについて、群馬県の要請に応じて、八ツ場ダム工事事務所で技術的な整理を行っています。
これに基づいて群馬県のほうで、造成宅地防災区域の指定をするかしないかの判断が下されるため、それ以降の話になると思います。
【川本】まだ、検討は行っていないということか。
【河川整備課長】河川整備技術基準に基づく検証はおこなっているが、宅地防災マニュアルの検証に移る段階には入っていないと聞いています。
・県としてきちんと検証すべき
【川本】断面形状にあわせて安定計算をするという問題については、きちんと検証すべきである。地下水の影響を無視しているが、排水溝が詰まった時にはどうするのかという話もあるため、地下水の影響を考慮することが必要である。宅地防災マニュアルに従って、実際どうなのかということを国土交通省に申し入れて、その内容について詳細に確認するということを是非やっていただきたい。
【河川整備課長】本県としては、代替地の安全性は大変重要な事項であると認識しています。安全性の検証結果については、これから注視してまいりたいと考えています。
【川本】八ツ場ダム事業計画の妥当性について、今まで治水、減電補償をはじめとする事業費、飽和雨量と一次流出率などについて質してきたが、県はすべて国の言い分を明確な根拠もなく鵜呑みにしてきた。今回の問題について、県として国に問合せ詳細を確認すべきだ。